盗撮して欲しい女

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

某デパートの昇りのエスカレーターに乗っていた時の話。

前に立つ若い女性が足の付け根から数センチ下ぐらいの丈のミニスカートをはいていた。
しかも、ショルダーバッグをかけているため、微妙に片側がめくれ、お尻と足の境目が見えるんじゃないかというぐらいの無防備さ。
さらに、もうひとつショルダーバッグを持参しており、そのバッグは、なぜかエスカレーターの踏み台の上に置いている。

自分は心の中で「重いからおいているんだろうけど、おいおい、そのバッグの紐が巻き込まれたらどうするんだよ。停止するだろ。それだけならいいが、急停止したら、あんた大けがするよ。あんただけじゃなく、後ろにいる自分まで巻き込まれるじゃないか。このバカ女・・・」と憤慨しつつ、彼女の方を見ていた。

次第に、次の階へと近づいて行った。

自分:「早くバッグ拾えよ。絶対に巻き込ませるなよ」

そう思っていると、彼女はきちんとバッグを拾い上げた。
しかも、お尻を突き出すようにして拾ったから、スカート内部の下着をはいた大事な部分が丸見え。

自分:「おいおい、本当にバカ女だな」

ちらっと後ろを振り向いた後、さらに彼女は上階に昇って行く。
彼女の前には、少し離れて男性が立っている。
彼もまた上がっていく。
自分も最上階まで行く予定だったので、やむなくそのままついていく。

カバンを再び降ろすのかと思いきや、下ろさない。
「あれ、おかしいな、下ろすのが面倒くさくなったのかな?」と思っていると、とうとう最上階までついた。

あの太い足をこれ以上見なくて済んだことにホッとしていると、彼女、少し離れた先に立っていた男性と小声で話した後、すぐさま下に降りるエスカレーターに乗りかえた。

二人はまたも距離を保って、まるで他人のような顔をしている。
もしかすると、この人たち、これを延々と繰り返しているんじゃないだろうか?という疑問がよぎった。

最近、夫が妻にミニスカートをはかせ、その姿を盗撮した男性を恐喝し、逮捕されるという事件があった・・・。

ひょっとして、自分が見たカップルも、そういう人たちだったのかもしれない。
後ろにずっとついていたのが女である私だったから、諦めて再び下に戻ったんじゃないか。・・・。

次に後ろに立ったのが男性で、しかもうっかり下心を出したとしたら、一気に天国から地獄に・・・。
下心を出さなかったとしても難癖つけられたとしたら、人生を狂わせかねない・・・。

一番怖いのは、生きている人間かもしれないとつくづく思う出来事でした。

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