私が聞いた話。
ずいぶん前の事。
これは奥多摩の山中で実際にあった出来事です。
「山中に赤ちゃんが捨てられている。はやく救出してほしい」
・・・登山者からの通報が管轄の警察に入りました。
警官は通報を疑いながらも付近の山小屋主人とともに声の聞こえる場所に出向きました。
すると、森の中から「あおぅ・・・あぉー、うわぁーおぅ・・・あおぅ」という赤ん坊の泣き声が。
一同は、通報は本当だったと色めき立って、森に入ろうとしますが、それを制したのは「あれはアオバトの鳴き声だ」という、山に詳しい一人の男の言葉でした。
アオバトは広葉樹の多い山林に多く生息する鳥で、嬰児そっくりの声で鳴くのです。
僕はこの声を、沢筋でビバークしているときに耳にしました。
その瞬間、身も凍るような恐怖に鳥肌だったのを覚えています。
石を投げると鳴き止むので「草履を投げる」という方法が言われたのだと、僕は考えています。
が、これだけがウブメの正体ではないとは思いますが・・・。
皆さんも一度、アオバトの鳴き声をユーチューブとかで聞いてみてください。
夜の山中からあんな鳴き声が聞こえたら・・・ぞっとしますよ。