君達のためにも・・・お祓い

カテゴリー「怨念・呪い」

これは4年前のちょうど今頃、当時、大学生だった俺と三人の悪友A、B、CとCの彼女Dで、夏の恒例の肝だしと称して、某県の廃墟に行ったときの話です。

当時、Cが付き合い始めた彼女Dが少々霊感があるというので、廃墟ツアーに行くことなったが、廃墟に繋がる獣道に車から降りて入った途端に、急に彼女Dが「変に空気が重い感じがする」とか言うんだ。
まぁ、俺達は霊というものを信じてなかったので、「マジ~」とか言ってワイワイしながら構わずに、廃墟に辿る道を進んで行ったのだが、急にBが「寒くねぇ」とか言い出した。

Bの冗談だろと俺とAは軽く笑って、「ビビるなよ」とか言ってどんどん進んで行ったが、BとCとCの彼女Dは、後ろで立ち止まっているわけよ。
俺とAは「ビビるなよ、来い」と言うけど、Cが「無理、無理」とか返事して来ようとしない。
俺とAは「あいつらビビってるな」とか呆れて、二人だけで廃墟に侵入することになった。

廃墟は三階建ての旅館で、入り口は長い草で覆われていた。
ちと躊躇したけど、俺達は構わずに入ることにした。

入り口に入って辺りを見回したけど、まぁ所謂廃墟なのでボロボロだった。
入って右廊下の突き当たりに、2階に上がる階段があったので、とりあえず2階に上がることにした時、後ろからBが全速で入ってきた。
一瞬ビビったが俺達は、「どうした?」ってBに問いかけると、「Cの彼女が急に吐いたから、Cは彼女を連れて車に戻った。いっしょに戻ろうと思ったけど、お前らにビビリとは思われたくないからな」と、ビビッた真顔で返してきた。

まぁ、全力で走ってきたから、実際は一人残されるのが怖かったんだろう。
それで、俺達三人は2階に上がることにした。

2階を探索してると、5つの客室と大風呂が確認できた。
雰囲気はあったが、そのまま中に入ることはせずに、大風呂右の廊下の突き当たりにある階段を上がって、三階に行くことにしたが、階段はパイプ椅子と机で埋め尽くされていて、上がることができないようになっていた。
仕方ないから、各部屋を見て回ろうということになった。

まず、風呂とその斜め向かいの部屋を見たのだが、何も無し。
そして少し離れたとこにある、隣り合わせの2部屋を見たが何もなし。

「何もないな~」とか言って最後の部屋に入った。

部屋は真ん中に大きな仕切り、キッチン、風呂と、他の部屋の2倍ぐらいの広さとなっていた。

部屋に入るや、さっそく仕切りの裏側に回ったAが、いきなり「ゲッ」と呟いた。
俺とBも「なんだ?」と言ってAのとこに駆け寄って、Aの目線の先を見て唖然とした。

仕切りの裏には、おかっぱの少女のヒビ割れた遺影と、朽ち果てた菊の花が置かれていた。
状況から、明らかにイタズラじゃなく、供養であるのが分かった。
唖然と見つている俺達の意識を戻すかのように、部屋のドアが、風もないのにゆっくりギィ~と音を立てながら閉まった。

俺達は一瞬ポカ~ンしたが、つかの間、三階へ上がる階段に積んであった、パイプ椅子や机が崩れるもの凄い音が響いた。
その音と同時にBが、「ヤバイんじゃないか、ヤバイんじゃないか」と取り乱し出し、Aは恐怖をかき消すような大きな声で、「偶然だろ、廃墟だし、廃墟だし」と怒鳴りだした。

で、俺は・・・俺の目線は、少し開いたトイレの隙間に釘付けで、声が出ない。

俺は、隙間の目線と目が合ってしまった・・・。

その瞬間、体温がグ~ンと下がるのを感じた。
実際に下がったどうかは分からないが、とにかく寒気が凄かった。

固まっている俺に気づいたAも、俺の目線の方向を向いて、「ヒィッ」と一瞬甲高い声を上げてフリーズ。
Bの「ヤバイんじゃないか、ヤバイんじゃないか」という声は聞こえているのだが、それがどんどん別の声に聞こえてきた。
いや、だんだんと言っていることも声も、別人に変わっていく感じだ。

「ヤバイんじゃないか、ヤ、なんで、な、」と、女の声で、「なんで、なんで、ここここここここ」と言っているように聞こえた。

Bの方を向きたいが、怖くて向けない。
Aも同じ様子だった。

Bの声はずっと「こ」が続きぱなし。

長い時間に感じたが、実際は数秒だろう。
そのとき、外からクラクションの音が聞こえてきた。
Cが呼んでいるのは明らかに分かるが、俺は怖くて動けない。
そしたらAが急に、俺に「動くな、待っとけ!」といって全速で走り出し、部屋を出ていった。

数分後、Aが戻ってきて、動けない俺とBに強烈なビンタをした。
俺とBが我に返って、Aと目を合わすと、三人で全速で部屋を出て車に向かった。

Aは走りながら、「大変なことになっている、いいか、いいか、これから直ぐに帰るからな。車に戻っても、何も言うな。いいか」と、俺達に息を切らしながら言った。

車に戻った俺とBが見たものは、泣いているCの隣で白目で泡を出しながら、意味不明なことを叫んでいるDだった。
俺達は無言で車に乗り込み、廃墟を後にしてAの家に帰った。
Aの家の着くころには、Dがいつの間にか眠っていた。

後日談になるが、本当の最悪はその翌日からだった。
また明日、廃墟に坊さんと行くことになってます。

後日談。

Aの家に着いて、とりあえずDをベッドに寝かせ、俺達は床に雑魚眠した。
怖いので電気はつけたままだった。

どのぐらい寝たのかは分からないが、突然のBの「ヒィー」って叫び声にビックリして目が覚めたと同時に、俺も「アァア」っと叫んでしまった。
ベッドの上に、無表情に俺達を見下ろすDが立っていたからだ。

俺の声につられて起きたA、CもDを見て唖然としていたが、直ぐにCが「Dちゃん、大丈夫?」と聞くと、突然、俺達を睨み付けるような目つきになり、甲高いダミ声まじりで首を上下に少し振りながら、「ヴヴ~、ヴヴ~」と。
一瞬止って、「ケケケケケケケケケケケケケケケケケケ」と、笑い声でもない「ケ」が全く止らなく、大きく横に不自然に開いた口からは唾が飛び出し、口端からはヨダレが・・・。

それを見てCは泣き怒り声で、「ふざんけなんよー、よー」と。
また、止らないDの「ケ」もそれなりに大きい声だったこともあり、隣人が壁を蹴って苦情。
Dは「ケ」が止らない状態・・・。
結局、救急車を呼び、Dの親にはCが連絡した。

二日後、Cから『Dは入院することになった。明日、Dの親に全員で会ってほしい』との連絡があった。

翌日、Dの親に色々と説明したが、俺達のことを許す様子はなく、「Dも悪いが、君らにも責任はある。回復しない限り許さない。こっちから連絡してくるまでは、Dへの面会はしないでくれ」と言われた。

夏休みが明けた。
DもCも休学していた。
10月に入ってCが大学を辞め、年末にCから連絡があった。
Dの親とCに付き添われ、俺達はその日以来始めてDと会うことになった。

Dの家に上がり、大広間に通された。
真ん中の布団の上にDが座っていた。
周りには、いくつもの赤い毛糸の玉や、綺麗に隙間無く青や赤や黒色で塗りつぶされた画用紙が散乱していた。

Dは赤い毛糸を握り締めながら、なんかブツブツ呟いていた。

俺達は何も声が出せなかった・・・。

Dの父が俺達に泣きながら言った。

Dの父:「もう、どうしようもないんだよ」

俺達はDを見つめたまま何も返せない・・・。

Dの母は泣いていていて、Cも黙っていた。

Dの父が「おい、これ見ろ」って言って、写真を俺達に渡した。

写真は布団の上に座るDを写したものだが、カメラを睨みつけるDと、写真全体に広がる人の顔、正確には女性の輪郭が写っていた。

2枚目の写真には、Dの体を覆うような赤黄色い光。

3枚目の写真のDの顔は、綺麗に半分に割れていた。

写真を見て唖然としている俺達に、Dの父が言った。

Dの父:「分かるよね、ね」

俺達はため息とともに頷いた。
Dの父はさらに言った。

Dの父:「お祓いしなくちゃいけない、Dのためにも君達のためにも・・・お祓い分かるよね・・・」

俺達の会話を、Dが赤い毛糸を握り締めたまま睨んでいた。
目が合って、とてもゾッとしたのを鮮明に覚えている。
お祓いは、年明けの4日にすることになった。

帰り際、Cが言った。

C:「毎日夜中に、部屋の中をぐるぐる歩き回っているって、Dの親から聞かされた」

もともと霊なんて信じてなかったけど、今でも自分の体験を理解できずにいる部分があります。

Dの原因が霊なら、お坊さんのお祓いの効果で治って欲しいと願ってます。

ブログランキング参加中!

鵺速では、以下のブログランキングに参加しています。

当サイトを気に入って頂けたり、体験談を読んでビビった時にポチってもらえるとサイト更新の励みになります!

Be the first to comment

Leave a Reply

Your email address will not be published.