写真の右脚が消えた

カテゴリー「怨念・呪い」

N県のK大橋。知る人ぞ知る自殺の名所がある。(内容から個人特定に繋がるかもしれないので敢えて伏せさせてもらいます)

あまりの自殺の多さに欄干には4本の有刺鉄線が張られているほどだ。
そして橋の袂には小さな供養塔があり、夏にはかなりの人が訪れる心霊スポットになっていた。

数年前、ちょうど今ぐらいの時期。
まだ夜は薄寒かったが、単車を購入したばかりの俺達はなんとはなしに「行ってみよう」ということになりそこまでツーリングに行った。
心霊スポットである事は噂に尾鰭が付くほど聞いていたが、実際に訪れたのは初めてだった。
初めてなのに、来たことがあるような妙な感覚だった。
デジャ・ヴュってやつだろうな。

橋の手前にバイクを止め、エンジンを切るとこれでもかというほど静かだった。
国道が遠いせいで周囲の騒音は全くなかった。
橋の下はダムから流れる川になっており、高さは相当のものだった。
夜では下は全く見えない。

暫くいると人間不思議なものでその場に慣れてくるらしく、皆で周辺を探索した。
私の友人太郎(仮名)が調子に乗って橋の袂にある供養塔に右足を乗せ、友人に写真を撮れと促した。いやそれは本気でやめたほうがいいぞと止めたが聞く耳もたず。
結局写真は撮影され、その場では特に何も起こらなかったのでその日は解散した。
数日後その写真を現像したということで見たのだが、特に異常はなかった。

その年の夏、その友人達は3人で別の県までツーリングに行った。
俺は仕事で行けなかったため、お土産よろしくと見送った。

そして仕事中1本の電話が入る。

ツーリングに行った友人からだった。
こっちは忙しく電話に出る事ができなかったため、後で掛け直そうと思ったが、あまりのコールのしつこさ。
仕事だってわかってるはずなのに・・・とブツブツ呟きながら電話に出ると
「あのな・・・」
友人は半分泣きながら話し始めた。

友人達が走っていた国道は見通しもよく、彼らもそんなにスピードを出すタイプではないから事故はまず起こすはずがない、と思っていた。
ところが事故にあったのだ。

道路にひょこっと現れた女の子を避けるためで、いわゆる回避事故。
だがその女の子は「飛び出した」ではなく突然道路に「現れた」のだという。
それは3人全員が見てるから間違いない。
そして太郎は転倒し激しいクラッシュ。
二人ともすぐ駆け寄り太郎の身を案じた。
一人がそこで女の子に罵声を浴びせようと振り向くと、誰もいない。
見通しよく隠れるところも一見すると全くない場所で女の子は現れ、そして消えた。
「脚が痛い!脚が痛い!」と太郎はしきりに悶える。
それはそうだろう・・・太郎の右脚は完全に大腿部辺りから無くなっていたのだから・・・
そしてどこを探しても太郎の右脚が事故現場から見つからなかったのだ。

さらに驚いたことがある。
その事故から数日後、当時の彼女にアルバムを見せる機会が訪れ一緒に昔のアルバムから最近のまでじっくり見ていると・・・、あの供養塔に右足を乗せた写真から、彼の右脚が消えていた。
写真が変化するなんてことがあるのか・・・心底震えた。

結局太郎は義足をつけ、今は平和に暮らしてはいるが二度とああいう場所には近づかないという決意をしたようだ。
当たり前な話だが、そういう現場に行く際はくれぐれもご注意ください。
できれば行かない方が懸命です。
ましてや供養塔にはそれなりの意味があります。
知らずに行ったとしても迂闊な行動を取らぬようお願いいたします。

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