朝鮮大陸に伝わる話

カテゴリー「怨念・呪い」

友人のフリーライターから聞いた、怖いというかとても気味が悪い話です
かなりの長文になりますが読んでいただければ幸いです。

友人はフリーライターといっても、朝鮮の民俗学に興味があり、1年の半分以上は向こうにいます。
いつか北に拉致されないかヒヤヒヤしてるそうです。
何回かやめろよって言いましたが、やはりなぜかあの半島に魅力を感じてしまうらしいで、まあ普通に民俗学といえば聞こえがいいですが彼が主に調べているのは、朝鮮の黒歴史・・・。
表には出ないドロドロした歴史だというんですから物好きと言うか悪趣味と言うか・・・。
映画にもなった、キム・デジュンの暗殺部隊なども調べたというものだから困ったものです。

そんな彼が語った、朝鮮の闇・・・本当に闇に葬られた、現実にあったとは思えない、思いたくない恐怖の歴史です。
あまりの話の内容に、彼はそればかりは文章にできなかったと言います。
この話は誰にも話しておらず、人に話すのは初めてだと言いました・・・なぜ、彼が私に話したのか。
それは、いやがらせの為に話したのです。
というのも彼と一緒に入った料理屋のバイトが朝鮮人で、あまりにも日本語が下手で思わず「これだからチョンは」と言ってしまったのをきっかけに口げんかになり、そして落ち着いたところで彼がポツリポツリと話し出しました。
「お前、朝鮮人がどれだけ歴史の裏で恐ろしいことをやっていたのか・・・教えてやるよ・・・」と。

今や発展途上ということもあり、超高層ビルが建ちハイテクなパソコンが並び様々な国と交流をもってますが、
実際にはそんなのは全体の一部に過ぎず、少し山奥や地方に行けば今だに自給自足してる村もあります。
南北問題や朝鮮戦争なんて教科書に載っているような歴史ではなく、本当に裏の歴史を知るにはそういった村からの情報が欠かせないと言います。
3年ほど前になるでしょうか、その日も彼は山奥の村で取材をしていました。

一通りの取材を終え村を出たころには、空はもう真っ暗だったそうです。
予定よりも時間をくってしまった、さっきの村に宿を求めようかとも思ったのですが、結局、麓の町まで歩くことにしました。しかし険しい山道、もちろん街灯なんかも無く、手元の懐中電灯の明かりもただデコボコの道と闇を照らすのみ・・・。
「おかしい迷ってしまったんじゃないか?」そう気づいた時はもう遅く森と闇に囲まれ、そして雷鳴が轟いたそうです。
振り出す滝のような雨彼は雨具を着て「こりゃあ・・・雨宿りできる場所を探して野宿だな」と覚悟を決めました。

ぬかるんだ地面に足を取られながらも、雨粒しか反射しない懐中電灯の明かりを頼りに一晩過ごせるような場所を探します。
すると、地面から飛び出す巨大な岩と岩の間に穴があるのを発見しました。
ちょうど人ひとり入れるような穴です。
「坑道か何かか?ちょうどいい」彼はその穴に入りました。
中はもちろん真っ暗で電灯で照らしても冷たい岩肌しか見えません。
そのまま寝てしまえば良かったのですが彼は好奇心で奥はどうなっているんだろう?と穴の深くへ進んでいきました。

どれだけ歩いたでしょうか、深い深い穴の先出口が見える気配もありません。
懐中電灯の電池も気になります。
こんなことなら入り口のところでさっさと寝てしまえばよかったと彼は後悔します。
ここで夜を明かしても目覚めは闇の中でしょう、結局進むか戻るかしかありません。
万一行き止まりだったら・・・そう思うとやはり後戻りかな、そう考えた矢先、雨音が聞こえます。
もしかして出口か?さらに先に進むと出口が見えました。
かなりの距離を歩いた気がする・・・それは山の裏まで突き抜けているトンネルだったようで、とりあえず出口が見つかったので、そこで彼は横になりました。

まぶしい光に彼は目を細めながら起き上がりました。
昨夜の遭難に雨、そしてトンネルの事をぼんやり思い出しながら外に出ました。
木々の隙間から漏れる光、快晴です。

よかった、とりあえず麓まで降りよう。

そして少し先に開けた場所があるのを発見し進みました。
森から抜け出し草原に出た彼は、その時の感覚を「あの時背中に走った悪寒はヤバかった。脊髄が氷柱に変わったかと思った・・・」そう語りました。

彼が見たのは墓墓墓墓墓墓墓墓墓墓草原のあちこちに倒れ積み重なりそして草からのぞく墓墓墓石の大集団。
ほとんどの文字は苔に覆われ欠けていましたが、それは確かに墓だったといいます。
しかもその数は尋常じゃなかったそうです。
草原かと思ったのは墓の隙間から生えた草でその一面・・・そう、彼が立っている地面そのものが墓石の山だったそうです。

これほどの死者・・・疫病か?村同士の抗争か?この山にも昔、村が点々とあったことはだけは知っているが・・・しかし、考えずらい。
あまりにも多い、村1つ全員・・・どころじゃ・・・ない、この山1つ・・・いや、この地方一帯の人間が死ななければ、これほどの数にならないんじゃないか・・・?

恐る恐る墓石の文字を覗き込む。

時代はどれも大体同じ時代のものが書かれていた。
ちょうど日本で言えば幕末~明治初期に集中しているらしかった。
そしてもう1つ、欠けた墓石の文字をたどっていくと・・・彼は気づいてしまった。

女性と・・・子供しかいない・・・。

名前はほとんどが女性の名前、男性の名前もあったが刻まれた年齢はどれも幼く・・・ソレを物語っていた。
これだけの女と子供が?この時代は確かに村と村地域と地域国と国の争いがあちこちであり、疫病も度々あった時代だ。
しかしそれなら成人男性の名前も刻まれるんじゃないのか?男たちが出稼ぎや徴兵で出て行った後、残された女や子供が疫病で亡くなったのだろうか?
恐怖は徐々に好奇心に変わっていった。
ここで・・・ここいらの地域で何が起こったのか・・・彼は調べることにした。

まずは地域の資料を漁ってみた。
図書館や役所にも足を運んだがコレといった情報は得られなかった。
そもそも今でも地方の山の奥で何があったかなんて日本ですら分かってない事が多いのに、管理能力がアレな国だし、今現在でも、住民票すらない山奥の人なんて数万人もいるんだ、分からなくて当然なんだよな。
彼は苦笑した。

そこで先日の村に再度話を聞きに行った、その村の人は確かにあのトンネルと墓の山の存在は知っていたのだが、比較的新しい村だったため、情報は少なかったが「昔、かなり良くないことが起こったらしいが詳細はわからない」村一番の年寄りもこう語るのみだった。

あの時代、この地域の生き残り・・・は、さすがにいないだろうけど、もしかしたらどこか移住した部族がいるかもしれない。
様々な資料を調べ聞き込みを続けるとある重要な手がかりを見つけた。
あの山一帯の者の一部は今のロシアに移住しているとのこと。

「ロ・・・ロシア?はぁ・・・お手上げじゃん」私はため息をついたが、彼は薄気味悪い笑みを浮かべて続けた。
「いや、ロシアまで行ったぜ・・・さすがにロシア語わからなかったから辞典片手にな。」

アホだコイツ・・・。
私はすっかり冷めたヤキトリを頬張った。

「んで、ロシアで見つかったのかよ?墓場山の住民は」

「あぁ、見つかった俺ってハイパーラッキーだ・・・まあ、1年かかったけどな」

「マジかよ・・・」

「ああ、しかも絶対に話さないと超ガンコジジイでな、交渉に交渉重ねて聞き出すのにさらに1年かかった」

「・・・はぁアホだなぁ・・・」私はため息をついた。

バカみたいに寒いロシアの田舎町に、その老人の家はあった。
老人は確かに朝鮮人の顔立ちをしていたという。
ただ、生まれも育ちもロシアだというのだから、老人が語ったのは父の祖父・・・つまりヒイヒイおじいちゃんの話だ。
その老人も90代というのだから、確かに時代は合っているようである。
老人はしわが垂れてわずかに開いた瞳で彼を見据えて、ゆっくりと話し出した。

「わしらの先祖さんがこの国にやってきたのはもう1世紀以上も前の話だ。正直この話はあの世まで持っていくべきことなんだよ。お前さん、知ってどうする?この世には知らなくてもいいことが山ほどある、その山の頂点に位置するだろうこの話を聞くというのなら、お前さんは地獄に落ちてしまうだろう、それでもいいのかい?もしかしたら、ボケた老人の戯言かもしれんだよ?まぁ、いいさ・・・逆に知っておかなければならない話・・・かもしれん。そもそもこの話は、わしは父から聞き父は祖父から聞いた話だ、つまり曽祖父にあたる。正直、お前さんに話すのは何ももったいぶったワケではない。怖かったのだ。ずっと作り話だと・・・父がわしを怖がらせようと作った話だと思っていた。わしは家族にも、誰にも話したことは無い、そもそもお前さんが現れるまでは忘れていたことだ。今さらとんでもない者が現れたもんだ・・・やれやれ。」

老人は間髪おかず話し始めた。
「わしの父の祖父は、小さな村に住んでいた。貧しく苦しい生活だったらしいが、まあ当時としてはそれが普通だったんだろうよ。そうだな、仮に父の祖父の名をキムとしよう。色々な人が集まり、様々な民族人種が入り乱れる。当時の人間からしてみれば、よその人種というだけで争い、殺しあう。山は1つの部族の集まりだ、だから隣の山は敵だらけなんだ。キムはそう教えられた、その村人全員がそう教えられて育つ。おそらく他の山の集落でもそう教えていたはずだ。だから基本的には生まれた山で過ごし、暮らす、自給自足が当たり前。だから下手に下界と干渉しないんだ。キムはその日、畑を耕していた。いつものように畑で汗を流し、家族の元に帰る。貧しく苦しいが、それでも幸せだった。
『山が燃えているぞ!!』突然の村人の叫び、キムが駆けつけると遠くで山が燃えていた。まずい、このままではあの山火事はここまで来る!キムたち村人は総出で消化にかかった、川の水を汲み、火にかけるが・・・自然の力は本当に強かった。結局火は集落に流れ込み村が山が灰になる・・・。その光景をただ見つめていた。問題はそれからだ、早い発見で村人はほとんど逃げ出せた。隣の山の住民も逃げてきていた。そして、地域一帯で唯一無事だった山があり、逃げ延びた人々はその山の集落に助けを求めたが・・・それは、他民族の山だったんだ。殺されはしなかったが、扱いはあんまりだった。男は毎日奴隷のように働かされ・・・女子供は・・・わかるだろ?まぁ、そういうことだ。ただ、奴隷のように働かされるのは仕方が無い。しかし女性は妊娠しちゃうんだよ、もちろんコンドームなんてないし堕胎技術もない・・・産むしかない。しかし怖いね『他民族の子を孕んだだと!』怒りに狂った男は、妻や娘を殺し、腹を割き胎児を取り出しぐちゃぐちゃにつぶした。それが1つの夫婦・親子じゃなかったから尚恐ろしい・・・。んで、その胎児と女が例の墓になったか?違う、墓なんて立派なものじゃない。壷に溜め込んだんだ・・・なぜ壷なのかわからない。ただ、殺した女子供は壷に流した。(キムたちのいた山では壷は邪悪なものを封じる魔よけのような物だったんじゃないだろうか?と友人は仮定してる)女と子供は数えるほどしか残らず、女はいつ妊娠してしまうか震え、憎い憎いその他民族に抱かれる日々。そしてある日・・・他民族の子供が壷に近寄ってきた『これなあに?』と聞いてくる。『幸運の壷さ』とウソを教えると、子供はその壷を持って帰っていった。ちなみに、ヤツらはこの壷の中身は知らなかった。女が殺されているのは、日に日に減っていく数を見れば分かったが、まさか壷に入れてるなんて思ってなかったんだろうな。その壷のつくりは何か特殊で、どうやら簡単に開けられないような仕組みらしい、詳しい事は分からないがそういう壷らしい。だからバレなかった。次の日から、不思議な事が起こった。他民族の家から叫び声が聞こえ、その家の子供が死んでしまったのだ。壷を持って帰った子だ。そしてその家の妻、隣の家の子と・・・次々に他民族の女子供が死んでいったらしい。キムたちは『我ら部族の呪いがヤツらに降りかかったんだ』そう思ったが、そういうわけではなかったんだ。キムのまわりの女性や子供も死んだんだ。・・・おかしい、やはり実際に殺した我々も恨みの対象なのか・・・。
しかし、よくよく考えると女と子供ばかりが死ぬんだ。男性は無事なんだ。そこでわずかに生き残った女子供をつれて村の大半がついに逃げ出した。奴隷に逃げられようと他民族はそれどころじゃなかった。大切な跡取りが次々と死んでいく。これは間違いなくキムたちが何かをしているに違いない。と、気づいた時には後の祭り、キムたちはすでに逃げていたんだ。逃げ延びた先が、例の山さ。そこで再び生活を始めたキムたちは、今回のこともあり、他の集落ともできるだけ仲良くするようになった。苦しいときは助け合い、笑い合うようにすると。そして貧しいけど、またつつましい生活が始まった。めでたしめでたし・・・とは、いかなかった。例の他民族がやってきたんだ。男だけになった彼らはニタニタ笑っていたそうだよ、何せ分かったんだからね呪いの正体、それは例の壷だったんだよ。彼らは壷の中身を無理やり調べたんだろう。子孫を殺す呪いの壷。
そして壷はパワーアップしてたんだ、どうやら壷の中身が多いほど・・・強いんだ。だから彼らはその壷で死んだ我が子、我が妻をたっぷり入れてね。あとはもうグダグダさ。呪い呪われ、死んで壷に流して。その話が都のお偉いさんの耳に入り、役人が来たときにはすでに、女と子供が消えていたんだ。その村から山から地域から・・・ほとんどね。男たちは都へ連れて行かれ処刑され、女と子供の怨念を恐れた都の人はそれぞれに墓を作った。そうなる前にキムたち含むわずかな生き残りは北へ北へと逃げていったそうだ。」

友人は「気味が悪い話だよ、飢饉で子供を食った話とか色々聞いてきたが、この話だけは何か・・・気分悪ぃぜ。」
私は「しかし壷はどうなったんだろうか?」と聞くと「ま、恐ろしいものだから、国に処分されたんだろう」と友人は返してきた。

私はもう一度聞いた「本当に壷なのか?」

「う~ん、まあ壷だって言ってたと思うぜ」

「壷じゃなくて箱じゃないか?」

「え?なんでよ・・・別に壷だろうが箱だろうが、とりあえず入れ物だろ?」

「だって、しってるよ・・・その壷・・・というか箱」

「あ?マジかよ!!」

「うん、その壷(箱)の作り方知ってる部族の人、多分日本に来たことあるんじゃないかな?」

「・・・え・・・」

「しかも、日本でソレ作ったんだよ」

「・・・え・・・ウソだろ、なんでお前が知ってるんだよ!!」

「うん、オカ板で一時期流行ったんだ」

「・・・?何が?」

「コトリバコ」

私はすっかりぬるくなったビールを一気に飲み干した。

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