秋田の雪深い母の実家でのこと。
昭和の初め頃、葬儀で帰りが遅くなった曾祖母を村人総出で探しに行ったそうだ。
足跡を頼りに裏山へ近付くと雑木林の中へと消えておりその奥には古い井戸がある。
悪い予感は的中したらしく枯れた井戸の底で転落死していた。
曾祖母の足跡の隣には狐の足跡が纏わり付くように続いていたそうだ。
その数年後、裏山で猟をしていた身内が誤まって人を撃ち殺してしまい逃亡。
大騒ぎの事件となり山狩りが始まったがとうとう見つけることが出来なかった。
恐らく山中で自殺を図ったのだろうと何時しか忘れ去られてしまった。
昭和の中頃には不幸が重なり家屋敷は切り売り、祖母が自殺。
母の兄弟5人の内男ばかり3人が自殺。
恨みや怨念というものに結び付けて考えたくはないが、自分の身内が山を汚してしまったことは事実でありその償いはまだ続いている。
数年前には私の妹の亭主も自殺してしまった。