昔読んだ「青森県の怪談」という地方出版社が出した本にのっていた話。
細部は違うところがあるかも。
津軽で飢饉があったとき、ある女が放浪していた。
女はさまよううちに米を炊くにおいに気づき、ある家にたどり着いた。
見ると釜で米が炊かれていたが、周りには誰もいなかった。
女は我慢できずにその米を貪り食った。
そこへ家主が現れ、怒りのあまり竹槍を持ちだし、その女を突き殺してしまった。
女はいまわの際に「確かに飯を盗み食いしたのは悪かった。しかし、殺すことはないではないか。いいか、聞け。お前の家が途絶えるまで私はいつまでも祟り続けるぞ」と言い残した。
その家ではその後生まれる子供は全て片輪者で、五体満足で生まれた者は一人としていなかった。
今でもその八代目の子孫が藤崎町(違ったかも知れない。とにかく青森の実在の町の名前)に住んでいるが、一人は片眼が生来見えず、もう一人は成人した今に至るも髪の毛が一本も生えていない。
1973年出版の本だから、まだその子孫は生きているかも知れないし、さらにまたその子孫もいるかも知れない。