小学生の頃、友人と、入っちゃいけないっていう山に肝試しで行ったことがある。
なんでも廃寺があって、幽霊が出るっていう噂のある場所だった。
山道を少し上ると、噂どおりに荒れた建物があったんだけど、中はほとんど空っぽで、目を引くようなものは何もなかった。
期待はずれで「もう帰ろうぜ」なんて話してたとき、友人がさらに奥に続く道があるのを見つけた。
それまでの山道はそこそこ広くてしっかりした道だったんだけど、先に続く道は草ぼうぼうで幅も狭い獣道。
なんとなく「こっちが核心」て感じがして、俺たちは盛り上がった。
んで苦労しながら道を登って20分ぐらい経った頃、急にポッカリ開けた更地に出た。
其処はただ開けてるだけで何があるってわけでもなく、ただ周りの木に変な模様のお札みたいなのが数箇所貼ってあるだけ。
何故か真の魔王城みたいなのがあると思ってた俺らはガッカリしたけどw
中心まで歩いていって絶句した。
更地の真ん中に、底はさほど深くないけど大きな穴が開いてた。
んで其処に、仏像の残骸がいっぱい捨ててあった。
中途半端に掘られた、作りかけと思しき木彫りの仏像とか、メッキが剥げて五体がバラバラになった観音様とか、そういうのがボロボロになって折り重なってる。
どうってことないとも思うんだけど、とにかく数が尋常じゃない。
夕方に差し掛かってたこともあり、急に恐くなった俺たちはダッシュで山を降りた。
んで、アイス食ってお互いの武勲を称えあって帰った。
それから数日、一緒に行った友人が寝込んだ。
医者に見せても全然良くならないようで、学校にも来なかった。
親も心配して大学病院に見せる、みたいなトコまで話が進んでたみたいだけど、なんかお坊さんが背中叩いたら一発で直ったらしい。(今は知らないけど、当時は専属?のお坊さんが家を回って仏壇にお経を上げてくのが当たり前だった)
お坊さんはなんか「悪いモノが入ってる」とか言ってたそうな。
と、まあそんだけの話なんだけど、微妙に引っかかってることがあって・・・。
廃棄されてたとはいえ、俺らが見た仏像って「悪いモノ」か?っていうのがひとつ。
それともうひとつ、あのお札は何だったんだろう・・・って。
正直記憶もおぼろげだけど、白い紙で、雨風に晒されたような形跡はなかったと思う。
手前の廃寺の荒れ方から考えて、それが未だに納得できない。
あと仏像も、妙に新しいものがあったように思うんだけど、普通仏像ってちゃんと供養して処分するもんだよなぁ。