橋の上の女と妹

カテゴリー「怨念・呪い」

大阪市と豊中市の境には、神崎川が流れています。
幾つか橋が掛かっているのですが、その内のひとつに歩行者専用の小さなA橋があります。
長さは約140メートルの橋で、朝夕は通勤通学で結構な人通りがありますが、夜はとても寂しい道で明かりも弱々しく不気味な雰囲気さえあります。

私はこのA橋を普段利用しないのですが、ちょっとした会社の飲み会があって、帰りが遅くなったこともあり、友人の家に泊めてもらうということでこの橋を渡って友人の家まで歩いて帰りました。

その日はまだ梅雨が明けておらず、雨が午後から夜中まで降り続いていました。
時刻は午前2時過ぎで、私と友人が傘をさして2人で並んで歩いていると、前方から1人の女性が同じく傘をさして歩いてきました。
道幅が狭いのでその女性に道を譲るため、私は友人の後ろに下がって1列になりました。

「どうした?」

友人が怪訝そうに聞いてきます。

「前から人来るし、道を空けようかなと思ってな」

「前から人?誰もいないけど?」

「前から女の人が来て・・・・・・あっ!」

私は自分の目を疑いました。
私達は南詰から10メートル程の所を歩いていたのですが、私が見た女性は北詰から半分以上進んだところをこちらに向かって歩いていたのに、姿が消えてしまったのです。

「まさか、川に飛び込んだのか?」

私は不安になりましたが、友人は、「俺はずっと前を見て歩いていたけど、女の姿なんて全く見てないぞ。橋の上は薄暗いし見間違いだろ?」と言うのです。

私は絶対に見間違いでない自信がありました。
何故なら、この橋に差し掛かった時から前方に人がいることを認識していたかです。
一瞬なら見間違いもあるかと思いますが、10メートルも歩く間ずっと見えていたものが、間違いなはずありません。
しかも、その女性は明らかにこちらに近づいて来ていたのですから。

そのことを友人に話すと、「だぶん酔ってるから目がおかしくなってるんだ」と言って全く取り合ってくれませんでした。

「そんなことより眠いし早く帰ろう」と言って友人はスタスタと歩き出しました。

私は納得出来ないながらも突っ立ってても仕方がないので、友人の後を歩き出しました。
そして、あの女性が消えた辺りまで来た時、不意に後ろから声を掛けられたので振り向くと、青白い顔をしてとても生きているとは思えない女性が立ってました。

「ひいいっ」

思わず声が出ました。

「気持ち悪い声を出すなよ」

友人が言って振り向きました。

「ぎゃああああ」

友人は傘を放り出して一目散に走り出しました。
私は体が硬直して一歩も動けません。

「あの人はいなくなる・・・」

その女性はそう言って消えてゆきました。

私は腰が抜けてその場にへたり込みしばらく動けませんでした。
深夜の雨に打たれて全身ずぶ濡れで友人宅に着いたのは、1時間以上経ってからでしたが、友人家に戻っていませんでした。

部屋の鍵は開いているのに本人がいないのです。
勝手に上がり込み朝まで待ってみましたが結局帰って来ませんでした。

私は書き置きをしてとりあえず自分の部屋に帰ってきたのですが、夜中に雨に打たれた上、濡れた服のままで友人宅に朝までいたせいか、すっかり風邪をひいて高熱を出して寝込んでしまいました。

3日間寝込み会社も休みました。
ようやく回復して会社に行くと友人もずっと休んでいたようで、しかも無断欠勤だと聞かされました。

心配になった私は、仕事が終わるとすぐに友人宅に向かいました。
インターフォンを押しても全く返事がありません。
試しにドアノブを回すとあっさり開くではないですか。

「おーい。上がるぞ」

私はそう言ってリビングまで行きました。
すると、あの日の私の書き置きがそのまま置いてあり全く人気が無く、寝室を覗いても誰もいません。

それから2ヶ月経ち、結局のところ知人は荷物も何も持たず実家に戻って引きこもっているそうで、鬱病のような症状になっていると聞かされました。

友人は一人っ子のはずなのに「妹はまだ帰って来ないの?」と親に何度も聞いてきたりするそうです。

橋の上の女・・・。
妹・・・。

何か関係があるのかもしれませんが、気持ち悪いというか、自分にも何か悪いことが起きるような気がしてこれ以上関わりたくないです。

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