こうして復讐は完了された

人生において、家を購入するというのは最大級のイベントの一つだろう。

中古とは言え、念願のマイホームを購入したその家族も、これから始まる新しい生活に心を躍らせたに違いない。

しかし、その家族の日常が、徐々にではあるが崩れ始めたのは、引越して僅か数週間後のことであった。

まず最初は、夫の事故・・・。
幸い大事には至らなかった・・・。
続いて、子供の病気・・・。
2人の子供達が次々と体調を崩す・・・。
しかも原因不明・・・。
そして妻の怪我・・・。
その怪我で、しばらくの間、仕事を休職せざるを得なかった・・・。

あまりに立て続けに起こる不幸な出来事に、家族全員が得体の知れない何者かの存在をじわじわと感じ始めていた。

今後の事を考えると、何か手を打たなくてはならない。
そう思った家族は、ある霊能者にお祓いを依頼することにした。

その霊能者も、家を見た途端、その異常さに気付いたという。
何か澱んだ空気がその家を取り巻いているのが感じられる。
怨念と言う言葉が一番当てはまる。

今までの出来事を考えると、将来、死者が出てもおかしくない。
それほどの念の強さを感じたらしい。

幸い、霊能者に力があったことと、その力の限りを尽くしたお祓いの甲斐もあって、その後は家族に不幸らしい不幸は訪れなかった。

妻も以前と同様、看護士の職に復帰して忙しい日々を送っていた。
そんなある日の事、その看護士(妻)が働く病院に、一人の急患が運ばれてきた。
どうやら交通事故の患者らしい。

たまたま、その患者を手術室に運ぶことになった看護士(妻)は、患者の顔を見て声をあげた。
ストレッチャーに乗せられているのは、紛れも無く自分たちがお祓いを依頼した霊能者であった。
状態は決して良くないみたいだ。

そしてそれは、ストレッチャーを押して手術室に行く途中に起こった。

今まで瀕死の状態だった患者の霊能者が、いきなり上半身を起す。
そして、看護士(妻)の両腕を掴み、うつろだがその奥に狂気を宿した様な目で睨むと、こう叫んだ。

「よくも追い出してくれたなあぁ!」

そしてまた、意識が断ち切れたかのようにストレッチャーに倒れこんだ。
その後、霊能者は治療の甲斐も無く、二度と目を覚まさなかった。
こうして復讐は完了された。

同じアパートに住む奥さんの同僚の人の話です。
多少脚色有りだが、話の展開に改変等は一切無し。
多分、祓われた霊が祓った霊能者に憑いてしまったんだろう。

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