最後まで罪を認めなかった

カテゴリー「怨念・呪い」

高校生の頃、学校にやたらとなれなれしい用務員のおやじがいた。

当時、まだたばこにうるさくなかったので、校舎の日陰でセブンスターのボックスを吸いながら休憩するのがよく目についた。

「メンソールを吸うと勃たなくなる」がおやじの持論だった。

「おやじがたばこ咥えながらニタニタ笑ってみてる」

ルーズソックスが流行り、スカートの丈が短くなりだしたころ、女子どもはそんなことを言っておやじを気味悪がっていた。

「見られたくなければスカートを伸ばせ。もしくは化粧を止めろ、その化粧を」

我々ヲタ共は変におやじに同情しながらマクロス7について語り合っていた。

異変があったのは夏休みが終わる頃。
バレー部の女子の一人の着替えが無くなったのだ・・・。

結構な騒ぎになり、全体朝礼で「自分から名乗り出てきたら怒らない。心当たりがあるものは先生に言いなさい」と体育の教師が言っていた。

おやじがクビになったと聞いたのはそれからもうしばらくのことだった。

用務員室で女子のブルマーだか、スカートだかが見つかったらしい。
おやじは最後まで罪を認めなかったそうだ。

学年が変わり、そろそろ進学について考えなきゃなとか思っている頃、おやじが自殺したと噂で聞いた。

自宅で首をくくって、潔白を訴える遺書があったらしい。

「女の服の一つで人生が変わるんだな」

進路のことを考えていた自分は、感慨深げにヲタ友たちと噂していた。

数学の教師が首を絞められた死体で発見されたのはそれからすぐのことだ。
部屋からは用務員室で見つかった以外の着替え、盗撮らしいビデオテープ、写真などが見つかったらしい。

それから、部屋にはセブンスターのボックスの吸い殻があったとのことだった。(数学の教師は嫌煙者だった)

「おやじも、くわえたばこで化けて出ることないよな」

ヲタ友のもらした一言に、俺は「それはちょっと違うんじゃ」と思った。

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