今の奥さんと出会った不思議

カテゴリー「怨念・呪い」

5~6年前、出張で松江に行ったときのこと。

昔からブルートレインに乗ってみたいと思っていたので、東京駅から夜行列車に乗った。
乗ったのはB寝台車で、他の客とカーテンだけで区切るというもの。
隣や上段にどんな人が来るのか少し興味があった。
来たのは隣だけで、おじいさんだった。
軽く挨拶をかわし、ベッドメイクをしたり本を読んだり、お互い自分の時間を過ごす。

夜11時頃、フリースペースと呼ばれる車両へ移った。
元々は食堂車だったけど今は営業していない。
適当に席に座ろうと思ったら、あのおじいさんもここに来ていた。
目が合ったので、おじいさんのいる席に座った。

おじいさんはこの食堂が営業している頃からすでに常連のようで、昔話を聞かせてくれた。
新しく出来た寝台列車も気に入ったけど、この列車の方が愛着があるのだと。
日付が変わり、そろそろ寝ましょうということになり、ベッドに戻る。

翌日、松江に到着し、降りる前に終点まで乗るおじいさんに一言お礼を言うと、「こんなもんしないが・・・」とアメをくれた。

昼食を食べた後にアメを舐めた。
アメは和紙に包まれて、アメ自体はカラフルで綺麗だった。
でも味が全くしなかった。

仕事が終わり、再び夜行列車で東京へ戻る。
この日は自分の隣にすでにお客さんが乗っていた。
同年代くらいの若い女性で、軽く会釈をかわす。
まさか若い女性が乗るとは思っていなかったので少し緊張。

今回もまたフリースペースへ行き、駅で買った駅弁を食べつつ本を読む。
しばらく経ってから自分のベッドへ戻ると、女性が自分と同じ本を読んでいた。
思わず「一緒の本ですね」なんて声をかけてしまったが、女性も偶然の一致に驚いていた。
せっかくなので少しお話をしてみると、女性は出雲へ旅行で来たようで、メインは出雲大社。
お互い波長が合うようで連絡先も交換した。

その後、その女性は彼女となり、今は奥さんに。
そして最近、妻があの味の無いアメを出雲でおじいさんから貰っていたことを知り、自分も貰ったと告げる。
お互い「不思議だね~」と言いつつ、あのアメは運命の赤い糸的なもので、おじいさんは縁結びの神様だという結論にしている。

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