指を1本切り落とした

カテゴリー「怨念・呪い」

僕が小学生の頃に、夜中に大掛かりな山狩りがありました。
行方不明者の捜索とかじゃなくて、何かを捕まえるって事で山の麓の集落や消防団の人たちが集会所に集まってました。
親父が捜索に行って母親が炊き出しに出てたんですが、ウチには爺ちゃんも婆ちゃんも居なかったので僕と妹は集会所の部屋で他の子供と遊んでました。
家に子供だけで居るのは良くないってことでした。

しばらくそうしていると、急に大人たちが慌ただしくなって半鐘がカンカン鳴らされたかと思うと山の上の方が明るくなってました。
遠くから見る分には山火事っぽかったのですが、友達の母親に聞くと「あれは山火事じゃなくて火を点けたんだよ」と教えてくれました。

しばらくして大人たちが戻ってきたのですが、皆の手に見た事も無いような武器のような棒を持っていてそれを大事そうに集会所の倉庫にしまってました。

しばらくして、「誰かが怪我か何かをしたみたいだ」という知らせが入って、集会所がまた騒々しくなり始めました。

僕ら子供は、遊んでいた部屋から出るように言われて大人たちが集まっていた部屋に移動しました。
僕らを追い出したあとに、縄で縛られた人が運ばれてきて部屋の真ん中に寝かされました。

「誰だろう?」と思って、顔を見ようとしたんですが、顔から袋がかぶせられていて分かりませんでした。
別に暴れている訳でもないのに、その人は縛られたままで皆が遠くから見守ってるだけなのが、子供心に奇妙に思えました。

しばらくたって、僕は母親と父親と妹と一緒に家に帰りました。
帰り道でずっと縛られた人の事が気になって考えていたので帰ってから母親に「あの人はなぜ縛られていたの?」と聞きました。

母親は、確か「悪い奴に呪文を掛けられたから」みたいに答えました。

その話は、あまり子供が聞くものじゃない、とも言われたのでそれっきりになりました。

後で、縛られていた人の近所の子に聞いた話によると、その人は、次の日にお寺へ連れて行かれたそうです。
それからも、その人は普通に暮らしていましたが、お寺で指を1本切り落としたという話も聞きました。

確かに、その人の指の一本が第2関節から無かったのですが、そういうのは山仕事の人には結構多い事なので真相は分かりません・・・。

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