コンクリートを抱いて・・・

AV仕様の最強媚薬・エロティカセブン

媚薬・エロティカセブン

俺はあまり霊というものを信じていません。
なぜかというと、見たことがないからです。
しかし、興味はあるのです・・・。

それは俺が不思議な体験、というより、偶然のタイミングに出くわすことが何回かあったからです。

俺が25歳になるまでに、知り合いが何人か亡くなりました。
この年でなくなる知り合いと言うことは、少なくとも老衰というパターンはありません。
事故と言うのが一番多いのですが、その原因が事故だろうが、なんだろうが、その後で、「ひょっとして、あれが原因なんじゃないのか・・・」といわれる偶然のタイミングに見舞われることが何回かありました。
それを人によってはただの偶然だと無視するし、又ある人は心霊体験だともいうのでしょう。

俺が高校生の頃でした。
バイクに乗って走り回るのが楽しい頃で、毎日ろくに学校にも行かず夜皆で集まって乗り回していました。
グループ内では意味もなく、根性試しが何回となく繰り返されます。
それは誰がいかに速く走れるかだったり、壁に向かってぎりぎりまでブレーキを踏まずにいれるかだったり、喧嘩の強いのは誰なのかだったり・・・。
その中にはもちろん肝試しもありました。

その時も皆で近くにある有名スポットへ肝試しに行くことになりました。
その心霊スポットには銅像が建っていて、それが動いて見えたりすると事故に遭うとかいう、全国どこにでもあるようなスポットでした。
でも実際仲間内でも事故ったという人間もいて、なかなか評判の場所でした。

今思えばバイク乗りたての高校生が、深夜心霊スポットに行ってビビれば事故る確率は高くなるのですが、まあそれなりに信憑性も感じて、事あるごとによく行っていました。

その日は動いているようには見えず、その銅像の前でダラダラしていたのですが、誰かが友人Aに、「おいA、銅像の膝にヘッチン(でこぴんのようなもの)せえや。」と言い出しました。

この銅像にはもうひとつ言い伝えが合って、銅像にやったことはみな、自分に返ってくるというものです。
目を触れば目を病気するとか、色々噂がありました。

Aはグループの中でも運転は一番にうまかったのですが、心のやさしい奴で、少し怖がりな所がありました。
嫌そうでしたがそこはお約束、これをやらないと「根性ないやつ」と言われてしまいます。
Aは仕方なく銅像の膝にヘッチンしました。
しかし怖がりながらやったせいか、ヘッチンは軽くかすっただけです。
皆大笑いして「根性なし」を連呼しました。

「もっかいやれ」と皆にせっつかれて、Aはもう一度ヘッチンをしました。
今度は大きな鈍い音がしました。
指を強く打ちすぎてうなるAを見て、又皆大笑いです。
「早速呪われてる。」だの、「もうお返しされてる。」だの言いたい放題です。

「くそーっっ!!」

Aはもうやけくそで、銅像の乗っているコンクリートの台に、相撲でぶつかるように抱きつきました。
でも別段怖いことも起こらず、帰る事になりました。

俺達はバイクにまたがって、15台くらいで連なって帰っていましたが、その時は、たまたま前をAが走っていました。
そして、大きな道路の急カーブにさしかかったときです。
皆体を右に倒してコーナーを曲がります。
Aも右側を倒し始めました。
どんどん倒します。

しかし、軽く倒せばいいはずなのに、Aはぎりぎりまで倒していくのです。
道路に右ひざがかすったかと思うと、Aはそのまますべるように転倒しました。

なんてことはない急カーブです。
転ぶほどの所ではありません。
ましてやAはグループの中でも一番の運転テクを誇っていました。

最初Aが倒しすぎていくときは、わざとふざけているのかと思いました。
しかし現実に、Aは膝を抱えてうずくまっています。
皆で駆け寄りましたが、白いものが傷口から見えました。
骨です。

「わー救急車呼べ!!」
「A大丈夫かー!!」

皆が叫ぶなか、友人Bが、「あの銅像の呪いや!」と叫びました。

「こんな時になに言うてんねん!」

「しゃーかて、見ろやAの膝!!骨の見えてる傷の下に、もう少し浅い傷ついてるやん!!1回目の失敗したヘッチンのぶんやん!!」

皆ぞっとしました。

しかし、当のAが「アホなこと言っとらんとはよ病院つれてけ!!」と叫んでので、皆われに帰って病院へ向かいました。

その後、そんなことも忘れていたのですが、ふとその事件を思い出す日が来ました。
皆高校を卒業し、それぞれの道を歩みだしていました。
そして意外なことに、Aは極道の道を選びました。

俺達の学校でその道を選ぶ奴は決して珍しくはありませんでしたが、心根のやさしいAがその道を選んだのは、正直以外でした。
そして、その噂は回って来たのです。

Aが勝手にクスリを持ち出し売上を搾取して、やばい状態だということを。
Aがその世界に入ってから、近所で会うことも無くなりました。
今どこに住んでいるのかも知りません。

あれからもう10数年もたった今、たまに地元に帰って昔の友人と飲むことがあっても、誰もAの消息を知らないと言うのです。
他の友人で同じ世界に入った奴らとは連絡が取れたり出来ているのに、まったく取れなのはAだけです。
この10数年の間、誰一人とっていないのです。

その日も地元の奴らと飲んでいました。
酒がまわってきたころ、あのときのメンバーだったBがぽつぽつとあの日の話をし始めました。
俺はそれを止めました。
Bの言いたいことは分かっていたからです。

あの日Aは最後にやけくそになって、銅像の乗っているコンクリートの台に抱きつきました。
もしそれがAの身に返ってきて、今もコンクリートを抱いていたら・・・。
そう思うと、たまらない気持ちになります。

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