今年の3月11日の朝にうちの愛犬、ジョンが眠るように亡くなった。
20歳、大往生だ。
姉が起きてジョンの死を知ると「うちの犬がしんじゃったのー。チョー悲しいよー。」と彼氏に電話をし始めた。
昼頃になり姉の彼氏がうちに来た。
姉:「どうしよう・・・あたしも死んじゃおうかな・・・。」
彼氏:「そんなこというなよ。」
姉:「だってチョー悲しいんだもん。あたしにチョーなついてたんだよ・」
そんなアホなやり取りをしていた。
正直言って俺はブチギレそうだった。
このクソ姉は一度も散歩に連れていったこともなければ、ジョンが寝たきりでオムツ生活になっても一切世話をしなかった。
しかも5年前に俺が野球部の合宿で家を開けていたときに逃げ出したと嘘をつきジョンを捨てたこともある。
近所の人総出で探索をして、近くの林につながれているのを瀕死の状態で発見した。
アホなやり取りを終えた姉と彼氏が玄関を出ようとしたときに、「うぉーーーーーん」とジョンの遠吠えが聞こえた。
びっくりして姉と彼氏がジョンのもとへやって来た。
「今、ジョンないたよね?」と姉が聞いてくる。
確かに鳴いた。
姉:「うそ、どういうこと?あたしに行ってほしくないのかな?」
糞野郎そんなわけねーだろ、と思っていると、あの地震が起きた。
うちの地域はそんなに大きな被害はなかったが人生で最大の地震だった。
姉:「ああ、これだったんだ。ジョンがあたしを助けてくれた。う・・ううぅ。」
完全に自分の世界に入っている。
いろいろ物が落ちてたりしてるのに後片付けもせず姉と彼氏は玄関に向かった。
姉:「あぶなーい。これ片付けといてねー。」
何だと思って玄関へ行くと、ガラスケース入りの人形が落ちて割れていた。
おまえも手伝えよと思ったが何を言っても無駄なのは分かっている。
掃除用具を取りに行こうとすると、急に姉が何も無いところで転んでガラスにダイブした。
姉:「うあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
凄まじい叫び声を上げて全身血だらけになっている。
すぐに救急車を呼び、命は取り留めたが全身傷だらけになってしまった。
単なる偶然か、それともジョンの復讐か。
まぁ、復讐だったとしても俺はジョンを恨むつもりはない。