ストーカーの空想と幻想

カテゴリー「都市伝説」

A子(32才)は東京でOLをしていた。
特に趣味も無く、仕事中心の毎日に嫌気を差しながらも、気がつけば周りの同期は既に結婚、彼女はいつの間にか「負け組」の仲間入りとなっていた。

そんなある日、会社のロビーである男性(K)を目にする。
瞬間、彼女はKを見て、直感的な「出会い」を確信したそうである。
しかし、Kは彼女に気をとめる事なく、ロビーをあとにしたのだった。

「運命の出会いなんて無いわよね・・・」

彼女は一つ溜め息を付き、エレベーターに乗りこんだ。
その瞬間である。
Kが現れたのだ。

Kの手には彼女のハンカチがあった。
どうやら、すれ違いざまにハンカチを落としたらしい・・・。
この時、彼女は運命的な出会いを感じたそうである。
こうして、二人は知り合いとなり、やがて交際するに至るのだ。

Kは彼女の会社の取引先の営業マンであった。
Kが現れてからというもの、彼女の生活は一変し、毎日が明るいものとなった。
しかし、交際から半年が経過した頃、A子が会社帰りに友人たちとお茶を楽しんでいると、ウインドウ越に見てはならないものを、目撃してしまうのだ。

そこには、家族とショッピングを楽しむKの姿。
とっさにA子は自分が遊ばれている事を確信する。
そして、A子の選んだ選択肢。
それは、Kの自宅に押しかけて、家庭を崩壊させてやることだった。

A子はK宅に行くと、インターホンを鳴らす。
玄関に出たのはKの妻だった。

「あんたが奥さん?」

A子は物凄い形相でKの妻を睨み付けた。

そして、A子はそう言い放つと、Kのいるリビングに土足のまま入り込んだのだ。

Kは驚愕した。

「君は・・・君は誰なんだ!?」

A子の声は叫び声に変わっていた「貴方の恋人でしょう?・・・私をよくもだましたね!」

しかし、Kは彼女のことを本当に知らないのだ・・・。

その時だ、ある事がふとKの頭を横切った。
いや・・・どこかで会っている・・・。

「君は!・・・君はハンカチを渡した、あの時の!」

そうなのだ、今までの二人の思い出・・・それはA子が、勝手に空想の中で作り出した幻想だったのだ。
A子はKからハンカチをもらった瞬間、ストーカーへと変貌してしまったのである。

A子の部屋には数千というKの写真が貼られ、その中でA子の思い出は造られていったのだ。

そして、A子のストーカー行為は今でも続いているとのことである。

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