自分の舌を切り取った

カテゴリー「都市伝説」

友人Aの彼女が殺された。
報道こそされなかったものの、かなり無惨な殺され方だった(Aが直接私だけに教えてくれた)。

数ヶ月が経ったある日、気晴らしにと、Aと別の友人Bと三人で食事する機会があった。
その帰り道、三人で人通り少ない道を歩いていた時に、前方から女の歩いて来るのが見えた。
その時突然Aが「ぁあああ・・・」と、頓狂な声を発して震えだした。

その女は殺されたAの彼女だった。

恐怖で固まる私達三人を無言で見つめる彼女。
何を訴えたいのだろうと私が考えているとBが震えながら小さい声で言った。

「舌だ、舌が無いからしゃべれないんだ!」

そうだ、と私は思った。
無惨にも彼女は舌を切り取られて殺されたのだった。
だから喋れないのだと気づいた。
その瞬間、凄まじい形相になった彼女が、何かを訴えるかのように激しく口を動かし始めた。
・・・確かにその彼女には舌がなかった・・・!何も無い空洞のような口からニチャニチャという血糊の音が聞こえた。
私は気を失った。

十数分後、野次馬の人だかりの中で気がついた私は凄まじい惨状を目撃した。
Bは包丁で自分の舌を切り取って絶命していた。
目撃者の話によると、発狂したように自分の口に包丁を突き刺していたらしい。

Aは恐怖のためか、急に車道に飛び出して車に引かれたという。
幸い、Aは骨折程度ですんだ。
しかし事故を起こした車の運転手の話によると、車道に飛び出すAの後ろにシャツを引っ張っている女の姿を見かけたが、いつの間にかその女は消えてしまったということだ・・・。

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