アメリカのイエール大学附属病院で臓器移植を受けた「クレアシルビア」という人が実際に体験した話を紹介しよう。
まさに臓器が記憶を保持しているとしか思えない事例である。
シルビアは1988年に心臓移植の手術を受けた。
それ移行、彼女は趣味趣向がガラッと変わってしまったという。
以前までは嫌いだったビールやスナックなどを好んで食べるようになったり、内向的な性格はまるで正反対の活発で積極的な性格に変わってしまったという。
そして、さらに不思議なことがあった。
彼女は心臓移植をしたあとに夢を頻繁に見るようになったのだが、夢で現れる見ず知らずの少年の名前を知っているのだ。
彼女はそれらの変化が心臓移植後に起こっていたため、心臓移植ドナーになにか関係しているに違いないと考えた。
通常はドナーの情報は個人情報のため被移植者には公開されないのだが、クレアシルビアの必死の努力によって、彼女はドナーの家族に会うことになる。
そこでわかったこと。
彼女の夢に出てくる少年のファーストネームは彼女が知っている名前と合致し、今クレアシルビアに起こっている趣味趣向の変化はすべて生前の彼のものだった。
原子生物が持つ内臓は最小のもので消化器官だけであり、その次が心臓。脳は実はかなり多細胞生物になっていかないと現れない臓器なのである。
それまでの間生物は一切記憶を持たないのか。
なかなかそうは考えづらい。
それならば、心臓が脳の代わりに一部の記憶をになっていると考えても不自然ではない。
クレアシルビアの事例は心臓が脳の役割の一部を担っている証明になるのだろうか。
今後の研究に期待したいところだ。