「地震雷火事おやじ」は、世の中で恐ろしいものを順番に並べた表現である。
おやじは親父と現代では書かれれるが、もともとは大山風(おおやまじ)がなまったものである。大山風とは台風のことである。
夏目漱石の「人生」の冒頭で地震雷火事おやじという表現が使われている。
「人生」初版の1896年、明治より以前から、この言葉はあったことになる。
しかし、自然災害は他にもあるのに、ここで親父が出てくるのは不自然である。
地震、雷、火事と自然災害が続くのに、なぜ「親父」と思っていた人も多いだろう。
親父は自然災害と同じくらい恐ろしいと解釈していた人もいるだろう。
もともとは、他の3つと同じ恐ろしい自然災害で、大山風(おおやまじ)という昔の台風のことだった。
地震、雷、火事は日本全国どこでも起こり得る自然災害。それに続くのも日本全国で起こり得るものでなくてはならなかった。
津波などの水害では、内陸地の人には理解されづらい。
そこで大山風(おおやまじ)ということになった。
ちなみに、山風(やまじ)という言葉はあるが、大山風(おおやまじ)という言葉はない。
そもそも「やまじ」は山から吹き降ろす強風のことで、台風とは全く違うものである。