あれを絶対に食ってはいけない

カテゴリー「都市伝説」

ピンノって知ってるだろうか?

凄く小さな蟹で貝に寄生している。
たまにアサリの味噌汁とかに紛れ込んでいるのを見たことがあるかもしれない。

俺の祖父はあれを絶対に食ってはいけないと言っていた。
あれを生で食べるとカニゴケ(蟹苔?)になると。
先ほども言ったとおりピンノが出てくるのは大概、味噌汁で煮えた状態。
海遊びをしょっちゅうしていた俺でも生のピンノを見たことはなかった。

小学校の時、行事で潮干狩りをやったんだが、俺の友達のA君が、貝とその中から出てきたピンノを発見した。
A君はしばらくそれで遊んでいたが、俺がカニゴケの話をすると面白がってそれを食べてしまった。
潮の味しかしなかったそうだ。

それで事件が起こったのは確か、夏休みを隔てた9月だった。
授業中、Aは突然に悲鳴を上げた。

Aの手の甲から何対かの針みたいなものが出て、かすかに蠢いていたのだ。

俺にはそれが、自然番組でたまに見かける砂の中から突き出された蟹の目のように見えた。
ギョロギョロと動くそれをAは最初、恐れていたが、特に害がないらしいと知ると引きちぎってゴミ箱に放り込んだ。
その後、保健室に行ったが異常は見つからなかったらしく、すぐ帰ってきた。

俺はその年度の三月に転校した。
Aも俺も、そのときはもうカニゴケの事も、手の甲の目の事も忘れていたし、彼に異常があるとも思わなかった。

ただ、祖父によるとカニゴケは10年ほどの時をかけて人体を侵蝕し、やがて全身が蟹の甲羅のような苔で覆われると語っていた。

今年、彼がピンノを食べてから10年目の夏が近づいている。

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