飛び散ってしまった同僚

カテゴリー「都市伝説」

クロカンコースありのスキー場では、あまりに豪雪が過ぎる時に時折大型除雪車両による除雪が行われるんだが、その時に作業中の人間がその車両に巻き込まれ、微塵にされてしまうという悲劇が起きた。

流石にその現場にはいなかったんだが、自宅がスキー場のすぐ近く(徒歩5分以内)だった事もあり「巻き込んだー!!」の声から始まる喧騒、近隣の騒然とした空気、通り過ぎる警察や救急車両などなどを通して十二分にその悲劇を感じ入る事ができた。

が、その後しばらくするとその時に運悪く現場にいてしまった人に「緘口令」が敷かれたという噂が流れた。

「あれだけの事になればな」
「お化けだろ」
「殺人じゃないの」

・・・などなど、当時通っていた学校では色んな説が囁かれたものの、日常の流れと共に話題も移り変わり、すぐに「どうでもいい事」になってしまった。

だが、その「どうでもいい事」の真相をなぜか6年も経ってから知る事ができた。
その話の元は働いてる所に新しい従業員として入ってきた同級生、その人がとある飲み会で話がそっち方向にシフトした時に教えてくれた。

そいつが言うには、自分ではないが親父が季節作業員として除雪作業に関わっていた為に真相を知る事が出来たとの事。

そしてその緘口令の理由は「犬」。
同僚を粉々に吹っ飛ばしてしまった後に、作業員は人を呼んだり警察等に連絡する為に皆が一時現場から離れてしまった。
そしてその現場に再び戻ると、前々から山の奥のほうにいると噂だった野犬が現場にかなりの数現れており、その飛び散ってしまった同僚の大部分を持ち去ってしまったんだとの事。

そのショッキングと言われればあまりな内容に、「付近住民にパニックを巻き起こさせないように」との理由で現場の人間に緘口令が敷かれたのだと言う。

「それが理由であの春の野犬狩りがあったらしいよ」とそいつの話は結ばれたが、今もその自宅に住んでいて、時折人家の側にまで近寄る野犬の姿を見る身としては・・・たまったものではない話だ。

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