私の祖母が亡くなる直前の話です。
私が高校生の頃、祖母が足を悪くしほぼ寝たきり状態になり、母が身の回りの世話をしていました。
そんな状態の祖母ではありましたが、ボケなどはなく、母や私には冗談を言ったりできるほどで、足以外はほんとに元気でした。
そんなある日・・・。
母は頂き物のリンゴを持ってきて、祖母に話し掛けた。
母:「おばあちゃん、リンゴむいてきたよ」
祖母:「えらいすまんなぁ」
母:「二切れでええやろ?」
祖母:「うん、ほいなら中谷さんと半分づつ分けるわ」
母:「はぁ?中谷さん?誰?どこにいるんよ?」
祖母:「ここにいはる。ハイ中谷さん、リンゴやで」
明らかに誰もいない場所にリンゴを差し出す祖母。
あっけにとられる母に祖母がつぶやいた。
祖母:「あれ、中谷さん、よく見たら目も鼻も口もあらへん!」
それから一週間ほどで急に体調を悪くし、あれよあれよという間に祖母が亡くなった。
母からその話を聞いた時、かなり怖かった。
いつか私にも「中谷さん」が見える日が来るのかなぁ。