霊感を身に付ける儀式

カテゴリー「都市伝説」

ある宗派で得度を受けた後に、今まで無かった霊感が付いたという話。

得度とは悟り彼岸へと渡ることで、転じて仏門に入ることを意味するようになった。
得度を受けることで俗人から僧になる。
あるお寺の息子が大学卒業後に坊さんになるための修行に入った。

修行は合宿形式で行われ、歳の近い仲間が数人集まった。
坊さんの卵とはいえ若者同士、恋愛トーク等で毎晩話が盛り上がり楽しい合宿であったのだが・・・・合宿を行った寺には修行中に自殺した若い坊さんの遺灰が納められている。

自殺したのもそのお寺で、合宿修行の最中だったらしい。
度胸試しの意味もあってか、じゃんけんやトランプゲーム等で負けた人は罰ゲームとして割り箸で遺灰をかき回すという悪質な遊びを若者達はノリで始めてしまった。
最初負けた一人がやると、あとは雪崩式に。
結局みんな遺灰をかき回すという僧侶にあるまじき行為を行ってしまったのであった。

その次の日から、寝る前の談話中に遺灰の主と思われる霊の声が話声に交じるようになった。

話の流れで「そういうこと俺もあるよ」「俺も(笑)」という相槌を打つと、誰も居ないはずの空間から「オレモ・・・」という声が響いた。
声色も皆のものとは明らかに異なり、か細いが響く声であった。

若者達は流石に怖くなり、その晩は皆布団を近づけて寄り添うように寝たそうだ。
それから数日後、得度の儀式も無事に終わり、晴れてお坊さんとなったのだが、それ以来お寺の息子さんは霊体が見えるようになってしまった。

通夜の帰り道で子供の霊を見てパニックに陥った若者に阿闍梨である祖父「この世界に入ったら普通にこういうことはあるから覚悟しておけ」と言われ、覚悟を決めたという。
一般的な話では無いが、得度式を境に霊感が付いたり、見えるようになったという話はチラホラあるそうだ。

祖父も父も霊的力が付いたのは得度を境としてのことだった。

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