歩行者専用道路の標識の図案は、男性に手を引かれる女の子となっている。
この標識の図案は政府が一般公募したもので、募集に応じて全国から標識デザインの原案となる写真やイラストが集まってきた。
そうして採用されたのがおなじみのあのデザインだったのだが、これは関東に住むあるカメラマンが撮影した写真だった。
彼は標識デザインに応募するために適当なモチーフを探している時に、父親に手を引かれる女の子の姿を見かけ、その光景を写真に収めたのだった。
しかし、彼は後に子の写真に隠された重大な秘密を知ることになる。
デザインが採用されてからしばらくたった頃、彼はテレビで誘拐事件のニュースを見た。
その時映し出された犯人の顔に彼は見覚えがあったのだが、その顔というのが、娘の手を引いている父親に見えた、あの男性の顔だったのだ。