信長も震え上がる幻術師

果心居士カシンコジ。

『果心居士カシンコジ』は筑後の生まれとある。
大和の興福寺に僧籍を置きながら、外法による幻術に長じたために興福寺を破門されたという。
その後、織田信長の家臣になりたいという思惑があったらしく、信長の前で幻術を披露して
信長から賞賛されたが、仕官は許されなかったと言われている。

猿沢の池の水面に笹の葉を放り投げると、たちまち笹の葉が魚になって泳ぎ出した。
上記の術を信用しない男の歯を楊枝でひとなですると、歯が抜け落ちんばかりにぶら下がった。

松永久秀とはとくに親交があり、久秀が「幾度も戦場の修羅場をくぐってきた自分に恐ろしい思いをさせることができるか」と挑んだところ、数年前に死んだ久秀の妻の幻影を出現させ、震え上がらせた。

豊臣秀吉に召されとき、果心居士は秀吉が誰にも言ったことのない過去の行いを暴いたために不興を買い、捕らえられて磔に処された。

しかし、このとき果心居士は鼠に姿を変えて脱出し、それを鳶がくわえてどこかに飛び去ったともいう。

古老茶話によると、次のような記述が見られる。

「慶長17(1612)年7月、因心居士というもの、駿府公の御前に出る。神君むかし御覧あるもの也。いくつになるぞとおたずねこれあるところ、八十八のよし申し上げる」

生没年不明だが現存していた記録だけが残る。

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