昔、ある山奥に「五十人村」と呼ばれる村がありました。
その村の人口は、いつも五十人以上になることがありません。
実はその村には昔から人口が五十人以上になってはいけない、という厳しい掟がありました。
赤ん坊が生まれたりして51人になった場合、その赤ん坊を殺すことで掟を守っていたのです。
ある日、一組の夫婦が51人目になる子供を出産してしまいました。
村人たちは「かわいそうだけど、掟は絶対だから」と赤ん坊を殺すよう母親に命じました。
仕方なく、母親はどうやって子供を殺すか考えました。
出来るだけ子供を苦しませたくないので、刃物などは使いたくありません。
そこで母親は自分の乳房に毒を塗りました。
赤ん坊がお乳を吸ったときに毒を飲ませようと考えたのです。
しかし、次の日死んでいたのは赤ん坊ではなく、赤ん坊の父親でした。