去年の春の終わりころ、寝てたら左側の耳元で蚊の羽音が聞こえた。
ちょうど眠りが浅くなった時にそれが聞こえ出して、気になって仕方ないんだが気だるさもあって無視して寝ようとした。
そのまま半分眠りかけたり起きかけたりを繰り返し、少なくとも30分くらいはずっと付かず離れずの蚊の羽音に悩まされていた。
目も覚めつつあったし、いよいよイラっと来たので左手を顔の横に振ったら、硬くてモサモサとした身に覚えのある物体に手が当たった。
一瞬困惑したけどそれが頭だと気付いた。
でも自分の頭の位置にしちゃおかしくね?
触ってる感覚はあっても触られてる感覚がないのは自分に寝ぼけてるからか??
なんとなくそのまま掴んでた頭皮?に爪を立てたら、耳元で「痛っ!」っておっさんの声が。
反射的に慌てて体を右に捻って飛び起きたんだけど、掴んでた頭らしき物体は見当たらなかった。
左耳でずっと聞こえてたのが蚊ではなく、か細いおっさんの唸り声だったのだろうと思うともはや寝付けず、バルサンを焚いてから部屋を出て、朝まで近所の神社に避難した。
神社では滅茶苦茶蚊に刺された。