石油から作られるアイス

カテゴリー「都市伝説」

コンビニやスーパーで売っているラクトアイスは、石油から作られているという話が家庭科の授業や巷の噂で聞くことがあります。

ラクトアイスとは何なのでしょうか?

厚生労働省が定めるラクトアイスとは、乳固形分が3.0%以上入っているもの。
乳固形分=乳脂肪+タンパク質や糖分。

アイスクリーム類と名乗るには、乳固形分を3.0%以上含まないとダメなので、ラクトアイスはぎりぎりアイスクリーム類に分類されます。

ラクトアイスは成分的に、まろやかさやコクの源である乳脂肪は全く入ってなくてもOKなので、高価なお乳の代わりに安価な植物性の油が使われています。
使われる植物油にはパーム油(ヤシの果実)の場合が多いです。

乳固形分に植物油、これに糖分や増粘剤などを加えて冷やしながら練り上げるとラクトアイスの完成です。

このようにラクトアイスの製造過程には石油は使われていませんが、植物油を作る過程で石油精製物のn-ヘキサンが使われます。

ヘキサンはガソリン臭い有機溶媒で、ヘキサンを使うことで大豆やアブラヤシの果実から油を抽出しやすくなります。ヘキサンを使って油を搾ることを、ヘキサン抽出と言います。

植物油とヘキサンは混ざることになりますが、ヘキサンの沸点は70℃程度なので、後の過程で加熱により完全に除かれます。

ラクトアイスは石油から作られるという話ですが、ヘキサン抽出の話が転じて、ラクトアイス⇒植物油⇒ヘキサン⇒石油と結びついたのかも知れません。

体に悪い油として今話題のトランス脂肪酸ですが、植物油の製造過程の脱臭という高温に加熱して不純物を除去する過程で、不飽和脂肪酸が一部トランス脂肪酸に変じることがその生成の一因です。

ラクトアイスに使われるパーム油は飽和脂肪酸が多い油なので、トランス脂肪酸の生成量が少なく、ラクトアイスは比較的トランス脂肪酸量が少なくなっております。

ただ、脂肪分は多めなので、栄養バランスの観点から食べ過ぎは禁物です。

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