[その①]
一人暮らしして間もない頃呼び鈴が鳴った。
田舎から出てきたばっかりで警戒心などない僕はドアを開けた。
すると四十過ぎのおばさんと若い女の子が立っていた。
女の子が可愛らしい感じの子で、見とれているとおばさんが「最近、少年犯罪が多発してるのでアンケートにご協力下さい」と言ってきた。
暇だった僕は簡単に了承した。
最初の方は少年犯罪に関する質問だったが、そのうち質問の内容が恋愛、結婚といった内容に変わっていった。
ちょっと不審に思いながらもアンケートは終わった。
アンケート用紙を鞄にしまったおばさんが小さい小瓶に入った赤い液体を取り出した。
そして僕に言った。
「これ飲んで貰えますか?」
「はっ?」
僕は唖然として聞き返した。
「これ飲んで貰えますか?怪しいものとかではないから大丈夫ですよ。だだのワインですから」
おばさんは笑いながら赤い液体が入った小瓶を僕に渡そうとした。
「嫌ですよ。そんなの飲めるわけないじゃないですか」
僕は気味が悪くなり強い口調で言った。
おばさんはそれにもひるまず飲んでと必要に勧めてきた。
隣の女の子も大丈夫ですからと言って勧めてきた。
困った僕は「アルコール駄目なんですよ。アレルギーなんです」と嘘をついた。
「ちょっとですから大丈夫ですよ」
おばさんは笑いながらまだ勧めてきた。
「アルコール飲むとアレルギーで死ぬかもしれないんですよ。死んだら責任取ってくれるんですか?」
そう言うとおばさんはやっと引き下がりパンフレットを僕に渡して残念そうな顔をして女の子と一緒に帰っていった。
そのパンフレットに載っていた写真の男に見覚えがあった。
一時期、壺を高額な値段で売りつけたり◯◯結婚式を挙げるなどして話題になった某宗教団体の代表だった。
おばさんが勧めてきたあの赤い液体はただのワインだったのでしょうか?
つくづく飲まなくてよかったと思いました。
[その②]
憶測ですが赤い液体は血かも知れません。
◯◯◯◯の関連組織が配る「◯◯キャンディ」なる物には教祖の血が入っているとか、教団の儀式で使用する聖酒が入ってるとか言う噂です。
普通のキリスト教にパンをイエスの肉に、赤ワイン(葡萄酒?)をイエスの血に置き換え、食べる風習?があります。
確か、イエスと自らを同化させる・・・みたいな意味があったと思います。
どちらにしろ、知らない人から何か貰うのは危険なので止めた方がいいです。
[その③]
聞いた話です。
ある日、宗教勧誘の女性が家に訪問して来ました。
住人はまったく興味が無かったので丁寧に断ったところ、帰り際に赤い液体を飲むように勧められました。
怪しかったので当然飲めないと拒否すると、勧誘の女性は狂ったように無理やり飲ませようとして来ました。
ビックリして「警察呼びますよ!!」と叫ぶと赤い液体を床に溢して逃げるように去っていきました。
その後、調べてもらったところ赤い液体は猿の血液でした。
猿の血液の中には得体の知れないウイルスが含まれており、体内に入ると大変なことになっていたとのことです。