1970年代のこと。
宮崎県串間市の幸島に生息する猿の一頭が芋を海水で洗って食べるのが話題となった。
全国ニュースでも取り上げられ、大変な話題となったらしい。
幸島では、その後も一頭、また一頭とまねをして芋を洗う猿が増えていった。
そして芋を洗う猿が100匹を超えたあたりで不思議な現象が発生した。
それは、全国各地で芋を海水で洗う猿が出現し始めたのだ。
その様子を初期の頃から観察していた科学者のライアル・ワトソンは『百匹目の猿現象』と名付け、世界に向け論文を発表した。
そのセンセーショナルな論文は、瞬く間に世界に広まりライアルは一躍時の人となった。
しかし、それからしばらくして『百匹目の猿現象』はでっち上げだと発表された。
ライアル自身もそれを認めたため、この現象は闇に葬られることとなった。
ところが、串間市に住む住民のほとんどはこの現象を目の当たりしていたので、でっち上げということに疑問を抱いていた。
実はでっち上げの発表の少し前、幸島周辺に見慣れぬ数人の男たちが現れたそうだ。
流暢な日本語を話すが、外人のようにも見えるその男たちは、「百匹目の猿現象はでっち上げなので、今後一切その話をマスコミにしないでほしい」と各家庭を回り話をしたそうだ。
中には、金銭を受け取ったり、軽く脅されたりする家庭もあったようだ。
当然、ライアルにもその男たちは訪ねて行ったらしい。
そしてその後のでっち上げ報道である。
そこまでして封じ込めたかった理由はわからないが、ひょっとするとこの『百匹目の猿現象』には、世間に知られてはいけない恐ろしい秘密が隠されているのかもしれない。