最近、完結?したじいちゃんと犬のシロの話。
俺の住むところは田舎で山の近くに、じいちゃんと両親と俺とで暮らしている。
つい先日の朝方、家の前に真っ白な左前足だけ黒い成犬の亡きがらが横たわっていた。
じいちゃんが一目見るなり「シロッ!」と叫んだ。
親父も「本当だ・・・シロだ・・・。」と言って呆然としていた。
じいちゃんは「長い間、おつとめご苦労だったなぁ」、「死んで帰ってくる奴があるか」、「だが帰ってきてくれてありがとう」とか少し泣きながら、その真っ白な犬を撫でながら呟いていた。
その晩、じいちゃんはシロを自室で寝かせて、翌日、庭に埋めた。
それからじいちゃんは大工だった経験を活かし簡素な社をシロの上に建て、昨日、じいちゃんとシロの話を聞かせてもらった。
じいちゃんは若い頃、大工兼猟師だったらしく、ある日の山中で真っ白な、だが左前足だけ黒い子犬に出会った。
子犬は衰弱しており近くに親犬の気配も感じないことから、「ああ捨てられたのかな」と思い、連れて帰り飯をやり休ませた。
子犬はすぐ元気になり、じいちゃんはシロと名付けた。
シロはじいちゃんにしか懐かず、俺の親父(当時小学生くらい)が遊ぼうとしても無視されたらしい。
シロはとても賢く育ったようで猟に連れていくと兎や狸等何処からか捕まえてきたらしい。
そんなシロをじいちゃんも可愛がり、じいちゃんとシロはいつも一緒だった。
ある日、いつものように山に入るとひどく悲しい雰囲気だ漂い、獲物もサッパリだった。
シロも何か様子がおかしい。
その日は諦めて家に帰った・・・が、変な胸騒ぎがしていた。
シロも様子かおかしく、落ち着きがないようだった。
その晩、夢をみた。
大きい山犬がじいちゃんの前に現れて、山の神が死んだ。
後継者がまだ決まらないこと、シロは山の神の血筋なので、山の神の代行をして貰うこと等を告げた。じいちゃんは反対し、シロを探しに行かなきゃと思ったところで目が覚めたらしい。
起きると部屋に入れたはずのシロがいない・・・。
家中、近所中探したがとうとう見つけることができなかった。
その後、じいちゃんは猟師をやめた。
だが、山菜取りになど山に入ると猪や狸など、仮死状態で見つけることができたらしい。
その山は犬を奉っていたので、たまにお酒やシロが好きだった食べものを社に届けた。
で、月日が流れて、先日、シロが帰ってきた(亡骸)という話です。