ヤバイ看護士

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

俺の友人の話投下します。

仲間内で怖い話してるときに聞いた。

俺の友人のAには少し病弱な妹さんがいるそうです。
そのため某病院に入院していたんですが、毎日病院に通う母親に対し、Aは、妹さんの病状がさほど重くないためか、お見舞いに行くのは週一回ほどの頻度でした。

Aは、実はあまりその病院に行くのが好きではなかったそうです。
俺が理由を聞くと、Aは思い出すのも嫌なように答えました。

A:「気持ちの悪い男の看護士がいたんだ」

Aによれば、その看護士はあまり仕事熱心にも見えず、常に薄暗い影を背負っているような気味の悪い男だったと。

Aは見舞いに行ったとき、その看護士が病室のドアのところに所在無げに立ちどまり生気のない目で妹さんを凝視しているところを目撃し、心底気味が悪かったのだと語りました。

と同時に、自分の妹がその男に何かされるのではないか?と不安になり、母親に相談をしたそうです。

Aは「転院をしたら?」というと、母親は真剣な表情になり、「あんたもそう思う?」と切り返しました。

どうやら母親もその男のことを不気味に思っていたらしく、出来るだけ妹のそばに居るようにしていたそう。

何より入院時、病院側から言われたことが引っかかっていたそうです。

「病院の看護士達も十分なお世話をするつもりですが、多少お金がかかっても雇いの看護人を、患者さんに24時間付き添わせるようにした方がいいですよ」

まるでボディーガードでもつけておけ・・・と言うような病院側の言葉を母親はいぶかしく思ったのですが、病院側はどうもはっきりとは言わない。

それでも言われたとおり、ちゃんとした看護人は雇っていたそうです。

家族会議をした結果、転院をしようということになり、その病院から妹さんは離れ、その後無事に全快しました。

俺:「確かに気持ちの悪い話だけど、別にたいして怖くもないじゃん」

A:「それがさ、しばらくして分かったんだけど。俺、前○○市に住んでたって話したじゃん。その病院、その○○市にあったのね」

俺:「ふんふん」

A:「一時期報道とかで大騒ぎになった、○○市の病院の筋弛緩剤混入事件覚えてる?それ、そこの病院。犯人、妹見てたその男の看護士」

俺「:えっ・・・」

A:「今考えたら、俺の妹も危なかったじゃんないかな。亡くなった方には申し訳ないけど、本当、転院してよかった。病院側もさ、あの口ぶりからして、看護士の間ではあいつやばいぞって分かってたんじゃないかな。ま、わかんないけど」

淡々と語るAの口調がほら話ではないこと証明してるようで、何より病院側のその態度が妙にリアルで、俺は背筋が薄ら寒くなりました。

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