後味の悪い話というか、何と言うか。
アメリカの話なんだけど。
名前は忘れたけど、無いと不便なので適当な名前にしておく。
あるごく平凡な一家、ジョージと妻のメアリーと娘二人の四人で、特別裕福ではないけど幸せに暮らしていた。
ところが、ジョージが出かけてすぐに妻が階段から落ちて大怪我、近所の人が発見して救急車で運ばれたけど、治療もむなしく死んでしまった。
ジョージは悲しみに暮れる日々を送っていたが、娘が幼い事もあり2年後に再婚。
しかし、再婚の速さと妻の死が保険加入の4ヵ月後だった事から、近所のおばさん達が「メアリーはジョージに殺された」という噂を立ててしまう。
噂だけならまだしも、警察に「あの事故は事件だったんじゃないか?」と通報する人まで出る始末。
その通報で警察の取調べが始まるとおばさん達はエスカレート。
最初に救急車を呼んだ人が、実際はなかった場所にまで血が付いていたと言い出したのをきっかけに捏造しまくる。
ジョージが出かけるときに「じゃあメアリー、仕事に行ってくるよ」と言いながら車で出かけたのは7:00、妻の死は7:30だからその場にジョージはいなかったのに、「7:35にジョージが出かけるのを見た」とか言い出す隣のおばさん。
結局、殺人罪でジョージは無期懲役になってしまう。
その間に再婚相手はさっさと離婚して実家に引き上げ、娘二人は児童施設に。
ジョージは冤罪調査委員会みたいなところに申し立てをして、調査が始まる。
しかし調査しても、おばさん達の証言が本当だと言う確証がないかわりに、嘘だという確証も得られない。
結局、司法解剖の記録による実験で、メアリーの傷の位置と部屋の構造から、おばさんの言っている位置に血痕が付くのはありえない事や、ガソリンスタンドの記録から、メアリーの死亡時刻にジョージが家にいなかった事などの証拠が見つかる。
そしてジョージは晴れて無罪に。
しかし、6年の月日は重く、おばさん達の噂で離れ離れになってしまった一家の時間は戻せない。
娘は言った。
「お父さんの事は信じていた。でも私の卒業式には誰も来てくれなかったの」