少し名のある俳優の孫ってんで、結構もてはやされたしそれなりに豊かな生活もしてた。
実家は今もそれなりに裕福ではあるけど、俺自身は独り立ちして、しがないサラリーマン生活してるけどね。
それはいいとして、その爺ちゃんが亡くなる一週間前くらいから変なことが起こりまくった。
まず母親が・・・死んだ母親(自分からみた婆ちゃん)を見て、姉が子供が二階を駆け廻ってるような音が何度も聞いた。
あと、いつの間にか庭に知らない男性が立っていて、庭の木をしげしげと眺めてから何も言わずに去ってった。
家族で昔の爺ちゃんの姿で庭越しに塀の外を歩いてるのを見た。
その時、爺ちゃんもその場にいて驚いてたらしい。
自分はすでに一人暮らししてたんでその場は見てなかったが、多分その頃だったと思うが知らない男性が自分の部屋を訪ねてきて電話を貸してくれと言ったので丁重に断った。
もしかしたら若い頃の爺ちゃんだったのかもしれない。
そして、極めつけが爺ちゃんが倒れたって言うんで駆けつけたとき。
深夜の病院で聞いてた病室がわからずウロウロしてたんだが、見知らない十数人の黒服の男女が泣いてるのを、開いてる病室の扉から見えたんでどなたか亡くなったのかなと思って素通りした。
そしたらすぐに背後から呼びかけられて、見たら母親だった。
病室に入ると先ほど見えた集団はおらず両親と姉夫婦と近くに住んでる親戚の夫婦だけ。
誰も泣いてはいない・・・。
その後も誰も入れてないお茶がいつの間にか居間に置かれてたとか、起きたらゴミ箱が転がっててゴミが散乱してたとか細かい異変はいくつかあったけど・・・。
その3日後で爺ちゃんが死んだと同時にぱったりと変なことは起こらなくなった。
昭和に活躍した俳優の葬儀は家族葬で寂しく、新聞に少し載るだけだった。