イソップ童話のアリとキリギリス。
夏に働きもしないで歌って遊んでいたキリギリスが冬になり食べ物が無くなって困り果て、夏に食べ物をせっせと溜め込んでいたアリは困らずに済む。
「将来のことを考え、備えあれば憂いなし」という教訓を伝える物語だとみんなは信じているが、実は「アリとキリギリス」のルーツとなった寓話は「金持ちは困っている人に対して一切の慈悲を示さないアリのような存在だ」というメッセージを伝えるために作られたのだった。
イソップ童話のルーツは紀元前6世紀にアイソーポスという奴隷が話していた寓話が始まりである。
アイソーポスでは「アリとキリギリス」ではなく、「アリとセミ」というタイトルの話である。
貴族たちはたとえ餓死寸前の民衆がいたとしても手を差し伸べない。
冷徹さと独善性をもったケチでアリのような存在だと揶揄した話が元になっている。
いつの時代からか、何者かの手によって物語は貴族は慈悲の心を持った存在だ、という話にすり替えられた。
その後、貴族が慈悲深いという現実とはかけ離れた内容が浸透せずに「備えあれば憂いなし」の部分だけが残って今の「アリとキリギリス」の教訓になった。