駄目人間Aが会社の金を使い込んでいた事が発覚し、それを埋め合わせる為Aの母親は親戚中から金を借りていた。
その事をAに詫びさせるため二人で船で田舎に向かう途中だった。
Aは酒に酔っていた上船酔いし甲板で吐いており母親はAを介抱していた。
突然大きな音がしてAは海へ放り出された。
泳ぎには自信のあるAだったが、何故か体の自由がきかない。
海藻が絡まっているらしかった。
Aは無我夢中で手足を動かし海藻を蹴った。
目を覚ますとAは浜辺にいた。
Aの乗っていた船は魚雷に触れて見る影もなく殆どの乗客は死んでしまったようだった。
Aは無事救出されたが母親の姿はない。
暫くしてAの母親の死体が発見された。
岩にでもぶつかったのか打ち傷が酷く二目と見れない姿だった。
見ると手に何か握っている。
Aは近くにいた老人に、この辺の海は海藻が多いのか尋ねた。
老人の答えは石ころばかりで海藻などないと言うものだった。
母親が握っていたのはAのズボンの切れ端だった。