地元で「幽霊が出る」てそこそこ有名な道がある。
超ド田舎の林の中を突っ切ってるような道だから当然街灯もなく、ライトが無ければ何も見えません状態。
まあその林でおっさんが首吊り自殺して、しかし出るのは女の幽霊っていうあんましよくわかんないスポットなんだけども。
で、こっからは私の母の職場の同僚の話。
仕事終わって夜、その道にさしかかった。
月も出ていない夜、道の両側を鬱蒼とした林に囲まれているその道は当然真っ暗。
怖い話もあるしこれまた有名な心霊スポットと化してしまった神社もあるしで、普通の人なら最速で通過しようとするのだが、この人は違った。
何でかわからないが、その道でいっぱいになってしまった車の灰皿の中身を捨てようと思ってしまったらしい。
当然エンジンもライトもつけたまま車止めて、林の中だし良いよねーと、灰皿の中身を暗闇の道路にぶちまけた途端「プスン」とすかすような音を立て、車のエンジンが消えライトも消えてしまった。
え!?焦る彼女。
ライトのスイッチを入れてもつかず、キーを何度回してもエンジンがかかる気配がない。
周囲は真っ暗、聞こえる音といえば時折吹く風が木々の葉を揺らす音ぐらい。
脂汗が浮くほど恐怖を感じる、怖い。
携帯電話なんか普及してない時代だから助けも呼べない。
そして格闘して5分程経ち、彼女は漸く思い至ったそうだ。
まさか、吸い殻捨てたのが原因・・・?
「すいませんすいません・・・!」
と謝りながら、手探りで道路に捨てた吸い殻を出来る限り回収した。
その途端今までうんともすんとも言わなかったライト復活、キーを回すとエンジンすんなりかかる。
それで逃げ帰ってこの話はおしまい。
「本当に死ぬかと思った、生きた心地がしなかったって言ってたよ。悪い事はしちゃだめよ~、何かが必ず見てるもんだからね」と笑いながら母がこの話を教えてくれた。