自分のばあちゃんは、田舎の集落みたいなところに住んでいた。
里帰りで行くと、祭りの盆踊りの練習や獅子舞の練習みたいな、公民館でやっているのに参加することができた。
夜8時とか9時ぐらいまでやっていて、大人が酒飲んでる横で子どもが練習する、みたいなのが非日常的で楽しんで参加してた。
一人っ子だったし楽しかったんだ。
そこでしわっしわのばあちゃんで、「神様」みたいな人がいた。
神様は、「のんのんさま」みたいな感じで様付けで呼ばれてる人で、それが名前じゃないというのだけは知っていた。
子どもが集められて、神様が一度、「この世のことわり」を話したことがある。
人間の寿命は200年。
そこから何かするごとに、貸し借りで命が削られていく。
生き物を殺したら○年、盗みをしたら○年だ。
逆にいいことをしたら、チャンスがくる。
「○○」という白い虫を見たら食べろ、それが寿命がのびる唯一のチャンス・・・。
・・・そんな話だった。
その場で白い虫も見せてくれた。
のんのんさまは、それで200年以上生きているという話だった。
そのときじゃないけど、江戸の話を見てきたかのように語ってた。
それで子どものころは、白い虫が見えてたんだよね。
ケサランパサランがすごく近いんだけれど、雪虫の毛が長くなったような、なんかほわほわの虫。
目とか触覚とかもある、食べたらほんのり甘いやつだった。
不思議と、親の手伝いとか、誰が見ても人のために役立ついいことした直後に見つかるんだよ。
でもいつのまにか見なくなってた。
長寿の村というわけじゃないし、神様の意味がわからないけど、あの虫なんだったんだろ。
どこに書いたらいいかわからないので書いたけど、俺、今寿命いくつなんだろうな。