数年前お寺で働いてた時に経験した話。
当時俺は就職浪人と言う名のニートでバイトもせず、ほぼ引きこもりに近い生活をしてたんだけど、祖母が亡くなってお世話になった住職に近況を聞かれて素直に働いてない事を話したらお寺の掃除とか簡単な仕事をさせてもらえる事になった。
事件があった日は一人で留守番しながら本堂の掃除をしてたんだけど、ちょうど廊下の曲がり角の所から知らない爺さんがこっちを覗いてる感じがしたんだ。
たまにお参りに来る人はいたけどその爺さんは妙だった。
ただひたすら俺の方を見てる。
視線を感じるんだけどこっちからは焦点が合わないと言うか、そこに居るのも知らない顔の爺さんとも認識出来るのにそこには誰もいない。
まあ廊下から覗いてるだけだったからとりあえず気のせいって事にして掃除に戻ったんだけど、今度は本堂の中を爺さんが覗きこんできた。
障子は開けっ放しなのに入っては来ず、ひたすら体を隠すようにして顔だけ覗いてる。
おまけにこの時期は窓を開けてても結構暑いはずの室内で冷房も掛けず動いてるのにどんどん体が冷えてく。
流石にヤバい奴なんじゃとか・・・住職に電話するかとか考え始めたら隣のアパートに住んでてあんまりお寺の方には来ない老僧(先代住職、当時80歳)が突然現れた。
「特に用事はなかったけど何か来てみたら玄関で呼んだのに誰も返事しないから様子を見に来た」と言ったあと、仏様に挨拶して帰ってったんだけど気がついたら例の爺さんは居なくなってたしいつもの暑さに戻ってた。
それから住職が帰ってきた時にこの事を話したら「そういう事があったらひたすら無視、体を叩いて『シッシッ』とか『あんたの相手はしないよ』って言ってやりなさい」って教えてもらった。
あとそう言うのは絶対に部屋の中には入って来ないから出来るだけどっかの部屋に居るようにってのと、廊下で子供が遊んでる事もあるからとか笑顔で言われてちょっと怖かった。
ちなみにこの子供?は廊下じゃなくて駐車場に続く外階段の方で遊んでる声を聞いたかもしれない。
老僧にはお盆法要の時に何で急に来たのか聞いてみたけど、ただ本当に気まぐれだったらしい。
以上が当時はしばらく滅茶苦茶怖かった話。
今日が命日だったから久しぶりにお寺に行ったら思い出したからまとめてみた。