3年前に仕事で関西に行った時の話。
残業で遅くなり、ホテルにチェックインしたのが午前2時半くらいで、何階か忘れたけどとりあえずエレベーターに乗り部屋に向かった。
大手の普通のビジネスホテルって、大体エレベーターを降りると右か左どちらかに通路があり、突き当たりの左右に部屋があるT字型の造りになってるでしょ?
その時のホテルはエレベーターを降りて右のすぐ突き当たりの壁に、左は何~何合室、右は~何合室ってプレートが貼って、あってそれを見て左だと思って曲がったんです。
夜だから少し薄暗い廊下だったけど、曲がってすぐに一番遠い奥の部屋と、そこから自分のちょうど真ん中辺りに人が2人、こちらを向いて立ってるのに気がついた。
こんな夜更けに何してんだろ?
そう思いながら部屋番号を探しながら歩いて行くと、2人に近づくにつれ空気が重く、寒くなってきた。
そして2人の様相もだんだん見えてきた。
2人は年配のお婆さんで、髪はきちんとセットされている。
服は2人とも青い着物みたいなんだけどもっと分厚い、冬に上に羽織るような着物で、下はモンペみたいなのを履いている。
そしてなんだか目のあたりが二人とも黒い。
すごくドス黒い。
ヤバいヤバいと思いながらも、早足で部屋を探しながら歩くとどんどん近づいて来る。
少し前から気付いてたんだけど、このお婆さん達には目がない。
2人とも眼球がないのか、両目がボッコリへこんでいる。
そして何ていうか人の気配が全くない。
2人の間を通過するときは全身鳥肌で、変な汗が出てチビりそうだった。
1番奥に着きそうになるが、まだ部屋はない。
最後の部屋番号も違う。
ないない!
部屋がない!
逆だ!間違えた!
恐る恐る後ろを振り返ると2人とも向きを変え、こちらを向いている。
怖くて失神しそうになったが必死に走って逆に戻った。
また2人の間を通過する時に何か聞こえたが、それどころではない。
逆の1番奥に部屋はあった。
急いで鍵をさして部屋に入る前に、後ろを確認したらすぐ後ろに2人が立っていた。
2人とも信じられないくらいに大きく口を開け、真っ黒い穴3っつの顔で「じゃあじやゃじゃあじゃやじゃあじゃああ」みたいな感じで、耳じゃなく脳に響く感じで叫ぶ。
そのまま扉を閉めすぐフロントに電話して来てもらった。
錯乱して従業員に不審者だのお化けだ警察だってわめいてたら、防犯カメラの確認をしてくれたらしいが、俺以外何も映ってなかったらしい。
あれから今でも少し耳がおかしい。
この話をした友達もそのあと見たらしい。
今思い出しても恐ろしい。