よくある、とはいえ体験するとトラウマになる話。
20年以上前。
小学校でウサギと鶏の飼育委員をしていた。
元々動物が好きで、飼育委員担当の先生とも仲が良かったから委員を決めるとき率先して立候補した。
その時の採用条件は、立候補した子供が責任を持って動物の面倒を見られるか、だったから、動物が好きな俺ともう数人、違うクラスの子供が担当になった。
飼育小屋の鍵はナンバーロックで、担当の先生が開け閉めして飼育委員が掃除をする、っていう方式だった。
生徒が鍵を閉め忘れしないように、ってい理由だったと思う。
ただまあ、夏休み頃には生徒に番号を教えてきちんと面倒みているか確認する程度まで緩くなってた。
ことの発端は8月に入ってから。
ウサギと鶏の世話をしたあと、せっかくだから校庭で遊んで帰ろうかと滑り台へ向かうと・・・そばに、かろうじて子猫だった、とわかる肉片が散らばっていた。
思考停止したまま、ふらふらと職員室に行ってことの次第を説明すると、先生は「お墓だけでも掘ってやれ。それ以外は俺がやる。」とスコップを貸してくれた。
うちの小学校だと、プールの横に更地があって、校内で死んだ動物や、飼育していた魚を埋めるスペースにしていて、いわれるままそこに穴を掘った。
それを言うと、職員室で麦茶を貰っている間に先生が埋めてくれた。
次の当番の時、家からちくわをくすねて子猫を埋めた場所に置いたのを覚えてる。
怖いのはここからで、少しして飼育小屋の鶏がみんな死んだと聞いた。
施錠を厳重にして、だけど今度はウサギが殺された。
食い散らかされていた。
猫なら野良犬かもしれない。
飼育小屋の、鍵のかかったそれが壊されて、みんな死んだ。
暫くして犯人は近所の老人だと分かった。
飼っているゴールデンレトリバーの「餌」にしていたらしい。
近所ということもあって、学校の生徒なら一回はすれ違ってた、犬を連れた穏やかそうなおじいさん。
その人が、理由すらわからないけど、「ペットの餌」に野良猫や飼育小屋の動物を犬に食べさせてた。
その事実しかわからなくて、その老人の処罰や理由も大人が話さずに、そして今じゃ忘れられてる。
でも当時小学校に通ってた奴らはトラウマになってる。
俺は今でも犬は怖い。