ほんとうに怖いのは寒い時。
当時、警備員をしていた俺は夜十時半頃に、中学校に行った。
センサーが壊れてるから見てくれって内容だった。
その日は十月始め頃のわりに蒸し暑く、じんわり汗かくような夜だったよ。
「暑いなーだるいなー」って感じでダラダラ依頼された教室のある校舎に歩いていった。
その校舎が視界に入って、「あーあれかー」とか思いながら普段通りに近づいていく。
んで、玄関前について鍵開けようとした瞬間に「絶対イヤだ!入りたくない!」って直感で感じた。
普段は、深夜二時過ぎの学校とかでも、平気で電気も懐中電灯もつけないで入っていってたんだよ。(怖い話の本読んだ直後とかに)
なのに、鍵開けるのが怖い。
鍵穴に鍵を差した状態から動けない。
本能が拒否してる感じ?変な汗いっぱいかきながら、玄関で動けない。
でも仕事だし、まだ新人扱いだったから意を決して鍵開けた。
勢いだけで玄関開けたら寒い。
夏に外からクーラーガンガンにきかした部屋に入った時の感じ。
古い公立の学校の廊下にクーラーがついてるわけもなく、ひたすらヤバい!って感覚に襲われながら、ダッシュで廊下の電気のスイッチを探した。
かなりテンパりながらも電気をつける。
その瞬間にイヤな気配は薄らいだ気はした。
かわりに右後ろに人がたっている濃厚な気配。
後にも先にも人の気配をあれだけ強烈に感じたのはこれ一回。
気配を無理矢理無視して、空元気を出しながら依頼のあった教室へ向かう。
その教室はできすぎな話だが理科室。
しかも第三理科室。
第三だけあって、薬品だの模型だの一切置いてなかったのが救いだなーと思いながら、壊れているセンサーを探して修理。
修理まで玄関入ってから五分もかからなかったので、いささか拍子抜けするも、安堵感からか余裕がでてきた。
余裕になった所で、改めて教室を見回すとどうやら文化祭で使ったらしい展示物が置いてあった。
その中に、ファービーみたいなのがあって、それを眺めていた。
その時、黒板を背中にして見てたんだが、左後ろからおばちゃん三人くらいの話し声。
え?って思って教室を見渡すけど誰もいない。
外の声が聞こえてきたんかな?と思い、窓から外をみたら、道路まで結構距離がある。
しかも窓は閉まっているから左後ろから声がするのもおかしい。(窓は右側だった)
急に寒気が復活してきたので慌てて電気消して校舎から脱出。
やっぱり廊下は寒かった。
結局、声の正体はわからず、怖かった記憶だけが残った。
後日、その手の体験が豊富な兄に話を聞いた所、玄関に着いた時点で霊がいたんだろう。
もしかしたら玄関挟んで目の前にいたかもなーとの事。
兄自身の経験からも、良くない霊がいると悪寒がする事があるらしい。
寒いはずのないところで悪寒を感じたら少し注意したほうが良さげ。