真っ黒に変色してミイラ

カテゴリー「不思議体験」

石じじいの話です。

石じじいは、山中で大きな遺跡を見つけたことがあるそうです。
それはそれで、まああることなのですが、後味が悪かったと。

山の沢を登って行ってかなり上の方まで行ったとき、沢沿いの崖の下に、丸い石が落ちていたのを発見したそうです。
じじいは、沢を登っていても注意深く石をみているので発見できたのでしょう。

その石は、人工的なもので石臼のように見えたそうです。
そこらあたりを見渡してみると、磨いた石斧のようなものもあります。
崖の上に何か遺跡のようなものがあるのでは?とじじいは気づいて、その崖を回り込んで登りました。

そこは枯葉に地面が覆われていたが、それを広い範囲にとりのぞいていくと、そこかしこに石斧や石器が露出したそうです。
もう地面に顔をだしている土器もありました。

土器は、かけらがほとんどでしたが、保存の良いものがあり、かなり大きなものもありました。
石でできた長い棒のようなものもあったそうです。

それらの遺物は、かなり広い範囲に散らばっていて一部は林の中に続いていました。
遺跡の上にあとから樹木が生い茂ったのでしょう。

珍しい!

自分の発見に気をよくしたじじいは、どんどん下草や枯れ草をはがしていきました。
遺物は次々にみつかったそうです。

「これは貴重なものだ」と直感したじじいは、幾つかの石器や土器のかけらを拾って、石探索を続けました。
じじいは、朝鮮に住んでいたころに、そこの遺跡や古墳の発掘に立ち会ったことがあるので、その重要性を認識できたのでしょう。

数日後、その遺物を学校の先生に見せたそうですが、先生はいたく興味をもって、次の日曜日に一緒にその山に出かけました。
石器群があいかわらずそこにありました。
先生は興奮して、あちこちを掘り始めました。

じじいは、「おいおい、そがいにかってにほって、だいじょうぶなんかな?」と思ったそうですが、先生だったので口出しをしないで放っておきました。

彼の掘り出した石器や土器は、山のようにいっぱいになりましたが、ひときわ大きな土器を見つけて(ほぼ完品に近いものだったと)彼は狂喜しました。
中には、土が詰まっていましたが、それを取り除いてみると、円い陶板のようなものがでてきて、それには両面に「顔」が造形されていたそうです。
どちらも、かなり写実的でしたが変なふうにゆがんでいて気味わるく感じました。(じじいの直感ですね)

先生は、それを大事そうに新聞紙に包んで持ち帰ったそうです。
その遺跡は、いくら掘っても住居跡のようなものは出てこず、遺物のみが大量に産出したとのこと。

じじいは先生に、「あれは大事なもんやけん、教育員会にゆわんといけんのやないかな?」と助言をしたのですが、その先生は、聞く耳を持たず、日曜日ごとにその山にいって発掘(盗掘)を続けたそうです。

じじいは、最初の数回は、彼に同行しましたが、そのうち、そのような行為が嫌になって、行かなくなり、掘ったくっていたそうです。
さらに数ヶ月がたって、その先生に会いましたが、彼は、以前見つけた人面焼き物をもう一つ見つけたと、うれしそうに、じじいに話しました。

じじいは、やんわりと「もう、掘るんはやめたほうがええやないかなぁ?」と、諭しましたが、「掘っても掘ってもまだまだ出るけんねぇ。まだやめんよ」ということで処置無し。

その冬のある日、雪がちらつく日に、その先生は、山にでかけてそのまま帰ってきませんでした。

彼の家族は大騒ぎになりましたが、じじいは、どこに出かけたか知っているので、それを話そうかどうするか迷ったそうです。
もし、喋ると、先生の盗掘の共犯者として非難されることを恐れたのです。

しかし、それは、いらぬ心配でした。
先生の屍体がすぐに見つかったのです。
山に薪を取りに行った人が里の近くの山道の脇に倒れている彼を見つけたのです。
彼は、手に小さな黒い鏃を握りしめていたそうです。

他に遺物はみつからなかったようです。
不思議なことに、先生の屍体は、真っ黒に変色してミイラのように乾いていました。
2日ほどでそのような変化をするものではないので、皆不思議がり恐怖したそうです。

先生の自宅から盗掘した石器や土器(人面土器も)は見つからなかったようです。
話題にもなりませんでしたから。

そもそも、彼が、どんなものをその「遺跡」から掘り出していたのか?もよくわからなかったのです。
秘密にしていたので・・・。

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