10年前、学生でカラオケバイトしてた頃の事。
俺は稼ぎたかったので、0時から閉店の6時までの深夜勤務に入ってた。
バイトには色んな人が居たが、特に夜は変わった感じの訳アリっぽい人が多くて、あまり近付いて欲しくない様な雰囲気を相手が醸し出してたからそこまで仲良くは無かった。
で、話が飛ぶが、ある日、前の時間のシフトの女性が自殺した。
軽い欝の持ち主だったみたいで、酔っ払いのクレームを真に受けて衝動的に飛び降りをやってしまったそうだった。
そこから、色んな事が起こった。
特に自分が居た深夜勤務は3時を過ぎるとワンオペになるし、その時間はほぼ客も居なかったから最悪だった。
ビビったのが、お客さんも全く居ない、完全に1人の状態で店内放送で自分の好きなCDを掛けてたはずなのに突然あるビジュアル系バンドの曲が掛かり始めた事。
それがまた気持ち悪くて、何故だかテンポが上がったり下がったり。
CDを止めても店内放送で流れるのでコンセントを抜いたら一番奥の部屋から同じ曲のカラオケが流れ始めた。
しかもよくよく聞くとボソボソ・・・っと歌ってる様な声も聞こえて、堪らず店を飛び出したら店内照明が激しく点滅していた。
暫くすると収まったが、その日はもうどう言われても構わないと言う気持ちで朝番が来るまで外で粘った。
その女性が勤務していた時間から色々起こるみたいで、倉庫スペースから「ちょっと~」と呼ぶ声が聞こえたり、物が勝手に動いたり誰かに肩を叩かれたり・・・。
夜勤全体で散々な目に合って、多くの人が辞めていった。
流石にヤバいと言う事で、すぐに夜勤には必ず店長が重なる事になった。
で、しばらく経ったある日の事。
今日も絶対何か起こるぞとビビりながら一緒に作業していたんだが、部屋を清掃していた店長が突然「ウワァァ!」と叫びながらこちらに走って来た。
こっちも腰が抜けそうになるぐらいだったが、続く言葉を聞いて背筋が凍った。
「あいつがいる!」
店長がその言葉を発した直後、部屋からコールが来た。
崩れ落ちそうになりながらどこからコールが来たのか確認した所、店長が「あいつ」を見た部屋だった。
腰が抜けた店長を連れ、外に飛び出してその場で店長に辞めますと伝えた。
今はもう無くなって他のテナントが入ってるが、大丈夫なのかなぁ・・・。