小学生の頃の話。
ぼくらにとって、そこらじゅうにいる昆虫は格好のオモチャだった。
とんぼの頭をちぎって飛ばしてみたり、蝶の羽をもいでずらっと並べてみたり、燃やしてみたり、水をかけてみたり・・・。
毎日毎日飽きもせず繰り返してた。
ぼくだけじゃなくて同じぐらいの年の仲間は皆やってたことだから、
まぁ子供特有の残酷さってやつです。(今はもう虫に触れる事さえできないヘタレに成長しました)
遊んだ後の残骸は放置して自然に返してたんだけど、ある時、誰かがそれらを地面に埋めて土を盛り、更に木の棒を差してお墓に見立てたものを作った。
それから、皆がお墓を作るようになった。
手を合わせて祈ったり、お経っぽい言葉を呟いたるする奴もいて、そしてそれも誰からともなく皆が真似をした。
暫くすると、神妙な顔をして『お墓参り』をする、その行為自体がだんだん面白くなってきた。
更に時がたつと、その『お墓参り』をする為だけに虫を殺すようになった。
そうする内、小さい虫じゃもの足りなくなる奴が出てきた。
お墓がでかい=すげぇ!ヒーロー!みたいな感じです。
わかるかな。
虫→アマガエル→金魚→亀→蛇→鯉、みたいに、どんどん対象がでかくなっていく。
ぼくは亀あたりで怖くなって離脱した。
あの『お墓参り』がどこまでエスカレートしていったのかは知らない。
後日談でもないが。
今年の盆に帰省した時、久々に『墓地』に行ってみたんだ。
流石にこまごまとした虫の墓は風雨にさらされてなくなってた。
でも、直径1mはあろうかという馬鹿デカイ盛り土が3つもあったのにはちょっとビビった。
あの下には何が埋まってるんだろう。