当時、手塚治虫原作の「バンパイヤ」っていう実写とアニメが合成された、水谷豊さんデビュー作のTV番組を視てました。
小学校の先生から「バンパイア」と「バンパイヤ」は違うといわれて、人狼が主人公で吸血鬼じゃないから「ア」が「ヤ」に変わったて聞いた。
そんなことどうでもいいが、吸血鬼ドラキュラはみんな知ってたので、吸血鬼の退治方法はみんな共通認識だった。
誰かがもっていた吸血鬼大百科によると、うちに十字架がない人は救急処置でセロテープを十字の形に窓ガラスに貼ると侵入しないと書いてあったので、クラスの何人かが実験してみた。
そのうちの一人の窓ガラスが立て続けに深夜割られて、警察に被害届を出したら、4丁目も離れてたアパートに住んでいた20代の男がどうも犯人だった。
理由は明らかに十字架に似せてセロテープが貼っていて、それと赤と黄色のビニルテープの十字架が不愉快だったらしい。
男のアパートのベランダには腐敗したタマネギと人参が沢山ぶら下がっていて、悪魔に命を狙われているといつも言っていたそうです。
タマネギの人参がどうして悪魔に対抗する力になるのか分かりませんが、ずっと後でアニメの「ムーミン」でムーミン谷に侵入した悪魔を退散させるために風来坊スナフキンが十字架に人参とタマネギを絡ませて追い払うという一シーンがあり、これを見たんじゃないのかってクラスで話題になりました。
窓ガラスが割られてから、ムーミンのアニメの一シーンが話題になる前まで一年近く間が開きましたが、男は死にました。
これは地元の新聞に載りました。
そして、私たちと同じ結論に達したある作家がその事件をも搭載した、あたらしい「吸血鬼の秘密」って本を書きました。
男は体にわずかな擦傷しかなかったのですが、常人の10分の1以下の血液だけ残して布団の上で失血死していました。
流血の後はまったくありません。ベランダにはタマネギも人参のありません。
男が留守にしたときに大家さんと町内会長さんが近所の苦情を受けて掃除してしまったのです。
人参とタマネギを恐れる謎の存在から血を奪われ死んだのではないのでしょうか?
新聞にも載りました。本にも書いてました。
男最後のダイイングメッセージは、ボールペンで畳にえぐるように書いたV(ヴイ)・・・。
私はバンパイアの頭文字に思えてなりません。
本当のバンパイアはニンニクじゃなくて、タマネギやニンジンが弱点かもしれません。