私はオカルト版の怖い話を見て楽しんでいました。
そして気がつけば、もう夜中の2時半。
私はさすがにもう寝るか、とも思って携帯に溜まっていたメールの返信を済ませたあと、電気を消してベッドに寝ました。
それからどれくらいたったのかわかりませんが「寒いな」と思い、しかも右足がすごく痛くて、寝る格好を変えてゴロゴロしていたら、いきなりピイン、と精神が緊張するのがわかりました。
疲れてるのかな、と思ったのですが、それにしてはおかしい。
私は以前これを体験しているなと思いました。
そう、子供の頃です。
この状態はその夜何か怖かったり苦しいことが起こるときの合図。
耳元では耳鳴りがザーザーと続きます。
そして暗いはずの部屋が妙に明るく見えるのです
心臓が、バクバクといっていました。
そして、ふと、頬に何かがスルってかすったんですね。
嫌な予感がしました。
何か、私の顔の上にいる・・・っ。
目をつぶっていましたが、とにかく何かが私の顔の上でゆらゆら動いてるのがわかりました。
早くどっか行ってくれ、と思っていた時、いきなり肩を何かにグッとつかまれ、揺り動かされました。
勿論私はパニックになりました、その力は強かった。
人間の力じゃないようなずっしりしていて疲れる、重い力でした。
そしてその揺さぶりがやむと今度は頬に、何かがスルスルと落ちてきたんですね。
髪の毛みたいな、軽いもの。
私はこわばる腕でそれをさわってみました。
確かに髪の毛みたいでした・・・ただし濡れていました。
「自分の髪の毛かもしれない」、とあの時は思ったんです。
今考えればあんなに髪の毛が濡れてることなんてありえないのに・・・。
そしてとりあえず強く引っ張ってみると、私の頭に感覚はありませんでした。
そのかわり、何かギィというような変な声がしました。
ぞっとしました・・・。
これは私の髪の毛じゃない、違う人の髪の毛?
私は反射的に目を開けてしまいました。
すると、目の前には真っ白い顔をした、黒髪の女の人がいて、私の顔をじーっと見つめていたんです。
私は驚いて、本当に驚いて声もでなかった。
あそこまではっきりとアレを見たのは初めてだったんです。
その黒髪はカーテンみたいに私の顔の周りを囲んでいました。
口をパクパクしているのですが、私は何を言ってるのかわかりません。
すると突然、女がぐるっと白目を剥いて、歯茎・・・といっても歯肉だけの口を剥き出しにして「ヒヒヒヒ」、と笑い出したんです。
それも普通の笑い方じゃないんです。
絶望みたいな笑い方で・・・。
そして私の体に圧力がかかると共に、私の寝巻きがびしょびしょになっていって、体がどんどん冷えていくのがわかりました。
「やめて!!!!!!」
私は心の中で必死に叫んで、『これは何か他のことに意識をずらさないとやばい』、そう思って私はなるべく明るい歌を口ずさみました。
子供の頃もよく、そうやって逃げていたのを思い出したんです。
そしたら、ふっと体が軽くなって、さわってみたら寝巻きもとっくに乾いていました。
携帯の時間を見てみれば、朝の4時でした。
すると突然睡魔が襲ってきて、寝てしまって・・・。
考えてみれば、うちは川沿い。
よく水場って幽霊がたまる、とか言うじゃないですか?
昔はよく、『鉄砲水などが起きて死体が流れてきた』という話もきいたことがあります。
そして起きてみれば、今日私は風邪をひいてしまいました。
ここ1年くらい風邪をひいたこともなかったのに。
寝巻きが濡れたのは汗とも考えられますが、本当に土砂降りにあったくらいの感覚だったから、そんなに汗っかきではないし、考えてみればむしろ寒かったし・・・。
一体あの人は誰だったんでしょうか?