私の兄は、優秀な人間でしたが、ちょっと引き篭もりが入っていました。
生真面目すぎて世の中の不正が許せなかったり、自分が世界に理解してもらえないことを悩んでいました。
私が高校生の時、大学を休学していた兄が突然「絵の勉強がしたい」と言い出しました。
私達は皆びっくりしました。
兄は確かに絵は小さい頃からとても上手だったのですが、勉強も良くできたのでいい大学に入り、紙の上ではエリートコースを進むかのように見えていたからです。
また、鬱がひどくなってきてからは、絵を描くとよけいに鬱になるようで、医者からも絵を描くのを止められていました。
休学中とは言え、いずれは鬱状態を脱して、エリートコースに戻るのだろうと思っていた親は反対しました。
反対されたことによって、兄はますます引き篭もりが激しくなっていく様でした。
そんな時、途方にくれた母は、ある易者に相談しに行ったそうです、兄の写真を持って。
するとその易者は言ったそうです。
易者:「息子さんの好きにさせてあげないと、首を吊って死んでしまいますよ」
その易者が指差した兄の写真の首の回りには、驚くべきことにうっすらとロープの跡が見えたそうです。
映画の「オーメン」みたいに。