先輩の話。
山で大雨に降られたまらず廃小屋に避難する。
寝袋にくるまり、その日は早々と寝る事にした。
次の日、雨音で目が覚めた。
やれやれ、今日も足止めか。ため息をついて扉を開けた。
雲ひとつない晴天だった。
えぇ?
彼は頭の中が疑問符で一杯になったが、とりあえず、荷をまとめようと小屋に戻った。
扉が閉まると共に、天井からどしゃぶりの雨音がひびいた。
扉を開けると、音は止む。
閉めると雨音がする。
さらには雷が鳴り出した。
まあ、小屋も寂しくて、俺にもう少しいて欲しかったのかもしれんね。
彼は一宿の礼に、小屋の周り持っていた焼酎を少々撒いてきたそうだ。