祖父から聞いた話。
山歩きが日課で、常にお不動さんの小さい像を持っていたんだが、ある日、熊に出会い、襲われ、気がつくと病院のベッド上だった。
肺の1センチ上まで切り裂かれていたが、たまたま助かったらしい。
『命が助かったのはお不動さんのおかげ』、と祈りをささげようとしたら、持っていたお不動さんの胸部に、刃物で切ったかのような傷跡がついていた。
その傷跡は、自分の怪我と全く同じ位置にあり、後ろの炎まで達していた。
お不動さんが自分の身代わりになって、ぎりぎり助けてくれたと咄嗟に思ったそうな。
「熊の爪が振りかぶられた瞬間、初孫見るまで死ねんのじゃ(゜Д゜)ゴルァ!と思ったら、電波受信したように頭が真っ白になった」と語っていた。
ちなみに熊はその後猟銃で撃たれたが、なぜか銃弾以外の穴のような傷跡もついていたそうだ。
祖父は「お不動さんの独鈷杵攻撃に違いあるまい」と言っていた。